ケアンズ通信

27.オーストラリア住宅事情~ケアンズでガーデニングする(前半)

日本に居た頃の私はガーデニングなんて全く興味が無かった。たまに「金がなる木」や「幸福になる木」といった他力本願な鉢植えを買ってみることは有ったが、数ヶ月で枯れそうになり、その度に「縁起が悪いから助けて」と花作りが好きな実家の母親に泣きついていた。

そんな私がケアンズに来て、植物に、そしてガーデニングに目覚めてしまった。ケアンズは世界遺産にも指定されている世界最古の熱帯雨林を擁する土地。その森林は人気の映画「アバター」のモデルになったとも言われている。そんなケアンズの植物は色鮮やかで美しく、見ているだけで幸せな気持ちになってくる。そしてこれが何よりも大切なのだが、暖かい気候と豊富な水のおかげで、ケアンズでは植物を育てるのがと~っても簡単なのだ。ガーデニング初心者の私だって気軽にガーデニングを楽しむことが出来る。私のガーデニング体験談は次回ご紹介することにして、今回はまずガーデニングの舞台となるケアンズの一般家庭の庭についてお話ししたいと思う。


ケアンズの熱帯雨林と色鮮やかな植物。

土地が広いオーストラリアでは、当然のことながら庭も広い。ケアンズの一般的な住宅の敷地面積は400㎡(約121坪)から1000㎡(約302.5坪)。多くの家には建物と道路の間にフロントヤード(表庭)、建物の奥にバックヤード(裏庭)が有り、庭には芝生が敷き詰められている。芝が伸び放題になっていると市役所から警告の後に罰金が科せられるということもあって、どこの家でも定期的に芝刈りがされている。道路と家の敷地の間にはネイチャーストリップと呼ばれる歩道があり、この部分の芝生は隣接する家の人が刈ることが義務づけられている。日本から初めて来られた方は「どこも通りや庭の芝生がきれいだなぁ」という印象を持たれるようだ。芝刈りは専門業者に頼むことも出来るが、自分で行う人が大多数。殆どの家庭には芝刈り機が有り、週末になると近所のどこかしらから芝刈り機の音が聞こえてくる。

道路と家の間にはネイチャーストリップと呼ばれる歩道があり、隣接する家の人が芝の管理をすることになっています。

フロントヤードはフェンス越しに通りから見えることも多いが、バックヤードは完全にプライベートな家族のためのスペース。多くの家庭ではバックヤードに屋根つきのパティオやデッキを設けて、バーベキューセットや屋外用のダイニングテーブル、ソファー等を設置している。朝、鳥の声をBGMにコーヒーを片手に新聞を読んだり、日曜のお昼に友達を呼んでバーベキューをしたり、夜、星空を眺めながらビールを飲んだり。年中半袖で過ごせるケアンズでは戸外で過ごせる時間が長く、パティオやデッキはケアンズの暮らしに欠かせない空間だ。

小さい子どもがいる家庭ではバックヤードに遊戯器具を置いているところも多い。ブランコ、滑り台、トランポリンの他、カビーハウスと呼ばれる子供用の小さな家が有る家庭も。自分が子どもの頃に庭にこんな遊び道具が有ったらどんなに楽しかっただろう、とケアンズの子ども達を心から羨ましく思う。私が特に憧れているのはトランポリン。少し前の話になるが、隣の家の当時四歳の男の子がバックヤードのトランポリンで友達二人と一緒に気持ち良さそうにピョンピョン飛び跳ねていた。隣の庭から草取りをしながら眺めていた私の羨ましげな視線を感じたのだろうか、その子はジャンプするリズムに合わせて突然私の名前を叫び始めた。

「ミーホー、ミーホー、ミーホー」一緒に居た友達二人も面白がって真似をして叫び始め、私の名前は近所中に鳴り響く大合唱となってしまった。何事が起こったのかと子ども達の母親も庭に出てきて、恥ずかしいやら可笑しいやらといった思いをしたことがあった。先日こちらの女性週刊誌に「庭のトランポリンで30キロ痩せた」というオーストラリア女性が紹介されていた。私も自分の家のバックヤードにトランポリンを設置して、思う存分飛び跳ねてみたいと密かに夢見ているのだが、両隣には共に子どもがいてそれぞれトランポリンで遊んでいる今の家の環境を考えると、ジャンプ中に隣家の子ども達と空中で目が合った時の恥ずかしさを思い、未だに実行出来ずにいる。

子ども達が大好きなカビーハウス。お店屋さんごっこや基地ごっこ、小さなカビーハウスの中で、子ども達の大きな宇宙が広がります。

-

トランポリンとシェド。典型的なケアンズのバックヤードです。

バックヤードには大きな倉庫(こちらではShedと呼ぶ )が有る家も多い。シェドにはオージー男性が大好きな大工道具やガーデニング用具、自転車、バイクなどの他、ボートが置いてある家もある。いわば大人の男達のおもちゃ箱のようなものだ。

そしてバックヤードで忘れてはならない物といえば、もちろんプール。日本で「プールが有る家」といえば、超お金持ちの家を想像してしまうが、ここケアンズでは一般庶民の家にだってプールは有る。月間平均最高気温が26度から31度というケアンズでは、プールは贅沢品ではなく実用品なのだ。私の家にはプールは無いが、夏の暑い日「あぁ、こんな日はプールが有れば最高だろうなぁ」と思うことはよくある。プールの掃除や管理は専門業者に頼むことも出来るが、家計を考えて自分達でやる人も多い。

家族のそれぞれが思い思いの時間を過ごすパティオとプール。年中暖かいケアンズでは活躍度満点の空間です。

フロントヤード、バックヤードには、それぞれ庭木や花を植えている家が多いが、その種類や植え方は当然のことながら千差万別だ。ある友人は緑と白の植物だけしか植えないと決めているらしく、彼女の庭はとってもシックだ。別の友人は土に植物を植えると動かすことが出来ないからと、全ての植物を植木鉢に植えている。植木鉢のサイズやデザインもバリエーションに富み、こちらの庭もとても素敵だ。不動産営業という職業柄、家と同時に庭を見せて頂く機会も多いが、庭の手入れが行き届いている家は家の中も整頓されており、その家に対する持ち主の愛情が感じられる。庭の手入れが好きじゃないから、と敢えて庭に何も植えず、芝刈りもしなくて済むようにと、コンクリートやレンガを敷き詰めてしまっている家もたまにあるが、やはり見た目が寂しい気がする。せっかく美しいトロピカルな植物が育つ環境に住んでいるのだから庭を色とりどりの花や木で埋めたい、と思う私のガーデニング実体験は、次回ご紹介させて頂く。

このサイトは翻訳学校サン・フレア アカデミーの運営です。

PAGETOP