ボストン通信ブログ

お弁当事情

ピーナッツバター&ジェリー・サンドイッチ

お昼ご飯といっても、日本ではきちんとごはんとお惣菜、味噌汁に漬物、またはサンドイッチに小さなサラダや果物がついている。お弁当だって3~4種類のおかずが詰められている。アメリカのランチ事情はまったく違う。子供たちのランチは今でもピーナッツバター&ジェリー・サンドイッチとリンゴがひとつというのが一般的らしい。その延長線上なのか、来る日も来る日も、何年もランチはピーナッツバターとジェリーのサンドイッチだけという50代の友人がいる。アメリカのピーナッツバターはもともと甘いので、それにジェリーとよばれる、ジャムを薄めたようなものを加えたら猛烈に甘い。

まわりを見ても、来る日も来る日も電子レンジであたためる缶詰スープとコーンチップスの人、内容は変わるけど冷凍食品だけという人など、特別にランチを作るということはないようである。奥さん手作りのランチと言っても、食パンにマヨネーズを塗って魚肉ハムの親戚のようなボローニャハムというのを1枚か2枚はさんだだけというのが一般的なようなのだ。ハムと薄切りきゅうりを挟んだサンドイッチを職場の冷蔵庫に入れておいたら、知らない間に食べられてしまっていたということもたびたびあった。こんな貧しいサンドイッチを誰が食べたのかと当時は少し恥ずかしくなったものだった。

そんな環境に長く住んでいたからというのではないけれども、自分の作るランチの内容の貧しさに今まで気づくことがなかった。小さいころから痩せていたことが一度もなく、コレステロール値が高めの夫のためにランチを作り始めたのは7年ほど前。最初は毎日目先を変えてと、サンドイッチとおにぎりを交互に作ったりしていたのだけれども、夕食は週の半分日本食でも気にならない夫もおにぎりはいらないという。そこで、サンドイッチと100kcalに抑えた袋入りポテトチップスにニンジンのスティックというのが去年の春まで続いた。サンドイッチの中身は変わるものの、メニューは同じ。たまに母親が日本から来ると、「本当にこんなに毎日サンドイッチばっかりでいいの?」とよく言われた。

我が家定番ランチ-フェタチーズ&チキン添え野菜サラダ 

雪が多く、寒い冬の間、庭仕事ができなくて、体を動かす機会が一気に減って体重が増えるというパターンの中、やっぱりコレステロール値が上がっていた夫は、去年の春、厳しいダイエットに突入した。その名残で、今もランチは基本的にサラダである。レタス、トマト、きゅうりのサラダにカロリー控えめのフェタチーズやチキンの焼いたのを載せたサラダとニンジンのスティック、ブロッコリとニンジンの蒸したものにフェタチーズ、たまにはちょっとカロリーの高いシーザーサラダにチキンといったように、野菜とタンパク質中心の内容が繰り返される。

なつかしいニッポンのお弁当箱

ある日、日本の友達のご主人に「どんなお弁当を作ってあげてるの?」と聞かれた。基本的に毎日サラダだと説明したら、塗りのすてきなお弁当箱をいただいた。「たまにはちゃんとしたランチを作ってあげてください」というメッセージが添えられていた。うちの主人、そんなにも同情されてしまったのだ。そうして、日本を発つ日、その友達が空港でおにぎりを手渡してくれた。飛行機に乗る前、「いつもコンビニでおにぎり買ってるから」と。小さなおしゃれな紙袋に入ったおにぎりを手渡されて、うれしくて涙が浮かんだ。機中、いつものおいしくない機内食を無視して、包みを開けた。赤ちゃんのこぶしほどの小さなおにぎりが5つ。娘さんが和歌山に旅行したときに漬けてきたという梅干しのがひとつ、塩サケの大きな切り身がいくつも入ったのがひとつ、シソをまぜこんだのがひとつ、そしてお手製のエビの天ぷらを入れたのがふたつ。毎日仕事と家事で多忙な彼女が、朝早く起きて、こんなにいろんな種類のおにぎりを作ってくれたんだと、涙が止まらなかった。そうして家に着いてからSkypeして、涙を流しながらおにぎりをいただいたことを話すと、「あれはお弁当じゃなくて単なるおにぎりでしょ」と言うのだ。そうか、そういう奥さんにお弁当を作ってもらっているから、うちの主人のランチに同情したのねと納得した瞬間だった。

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