Did you know that?

49. シアトルマリナーズが負け続けた訳は?

「シアトル・マリナーズー Seattle Mariners」についてこのエッセイを書いていたとき、アメリカの大統領選挙があった。オバマが勝利し、夫を初め親戚縁者、友人全員がホッとした。夫の母とオバマ勝利をスカイプで喜びあっていた時、義母が面白いことを言ったので、少し紹介したい。

メリーランド州に住む義母は、オバマとロムニーが最終戦で僅差であることを憂慮し、選挙当日、オバマ応援の為に親しい友人たちを招き自宅でパーティを開いた。義母がとった行動は、パーティに関わるものの色を全て「青」(「青」は民主党を示す色。共和党は「赤」)にしたそうである。自分の着るドレスやアクセサリーはもちろんのこと、テーブルクロス、皿、ナプキン等など、飾る花まで青いものを選んだ。きっと招かれた友人たちも驚いたことだろう。義母がこれほど徹底して大統領選挙を応援したのは見たことがない。余程心配だったに違いない。オバマ勝利が伝えられたとき、義母と友人たちは喜びを分かち合ったそうだ。*-1 

義母は大統領選挙の結果が心配で、折角のパーティの写真を撮ることさえ考えられなかったそうである。この写真は、私の為に「こんな感じだった」と簡単に再現し写真を送ってくれた。メリーランドでは民主党が強い州であるが、普段はない青く染めた花がスーパーなどにたくさん売ってあり、驚いたそうだ。

*-1:参照No.3(ジョージブッシュと我が夫), No.22(セーラ・ペイリンとアメリカ大統領選挙), No.23(バラク・オバマ大統領と人種偏見)

さて、マリナーズの話を始めよう。メジャーリーグのワールドシリーズも日本シリーズも終わった。折角ニューヨークヤンキーズに移籍したイチロー選手もアメリカンリーグ最終戦で敗れてしまい、ワールドシリーズにでられなくて残念だったことだろう。

私がマリナーズについてこのようなタイトルのエッセイを書こうと思ったのは、イチローがマリナーズを去ったので、これからシアトルまでわざわざ試合を観にいくこともないだろうと思い、以前マリナーズ観戦時に嫌な経験をしたことを思い出したからである。

それはもう9年も前のことになる。

シアトルマリナーズにイチローが入ったことは、シアトルの日本人ばかりでなく、西海岸に住む、特に車で3時間弱でシアトルまで行けるポートランドの日本人にとっては、人生の喜びが増えたように嬉しかったものだ。特に有名日本人野球選手が移籍したチームでは、日本人観戦者が増えたと思う。

イチローは、いつの間にかシアトルマリナーズの顔となっていた。2007年、「SafecoField」正面入り口に大きく掲げられていたイチローの看板。

私たち家族も時折マリナーズの試合を観にいった。夜の試合では、終わるのが遅くなりポートランドまで運転して帰るのが大変なので、その日はホテルに泊まることにしていた。

対戦チームは「シカゴ・ホワイト・ソックス —Chicago White Sox」だった。私たち家族は、マリナーズ側のイチローが見える1塁側の外野席に座っていた。私たちが席に着いたとき私たちの後には、何故かしら「ホワイト・ソックス」を応援する20歳代と思える7、8人ぐらいの男性グループが、既にお酒を飲みながら陽気に騒いでいた。

「うるさいな〜」ぐらいだったのが「うるさ〜い!!!」に変わったのは、3イニングぐらいからだったろうか。立ったまま徒党を組み騒ぎ始めた。大声で歌う、踊る、暴言を吐く、叫ぶ、大笑いする。なぜか?お酒が回り始めたからである。売りにくるビールを買うわ、買うわ……。チケットだって安くはない。その上に浴びるようにビールを飲んでいたのでは、いったいこのゲームにいくら使うのだろうと、私の気持ちは人ごとながらゲームそっちのけで、後に立った酔っぱらいたちに集中していた。

この辺りの席は、彼ら以外マリナーズのファンだったので当然かもしれないが、この連中に嫌気がさした人は他にもたくさんいたようで、何人かが監視人のような人に苦情を言いに行った。初め係の女性が静かにするように言いにきたが、監視が戻ると元に戻った。5イニングぐらいに又スタジアム関係の男性が来て注意した。しかし、彼らは男性が戻ると元の木阿弥だった。

その間気づいたことだったが、私がコンクリートの床においていたバッグとカメラバッグが、彼らが後でこぼしたビールでビショビショに濡れていた。私は、座っている席あたりの状況があまりにひどかったので、私自身も監視の係に注意してくれるように苦情を言いに行った。彼らに直接文句を言うことは避けた。酔っぱらっているので聞かないだろうし、もし暴力でもふるわれたら子供たちもいるので大変だと思ったからだ。

2007年に観にいった時にいた上半身裸の観客たち。その内、小学生ぐらいの子供たちも上半身裸になって青年たちに合流して騒ぎ始めた。上半身裸がなぜ許されるのだろうか?

その事件が起きたのは、7イニングの表が終わったストレッチの時だった!私の真うしろにいた男が大声で騒ぎながら踊り始めた。と……、私の左肩当たりにドバーッと何かが降りかかってきた!!なに〜〜?と思って触るとビールではないか!振り返ると男は空になったビールの大きなカップを持って振っていた。

男は“ Oh! My god! I’m really sorry〜〜”とか何とか謝った。ヘラヘラしながら……。私は男に向かって言いたかった“You bullshit!! Get the hell out of here!!(くそったれ!お前なんか地獄へ落ちれ!)”とか何とか……。しかし、可哀想な私。グテングテンに酔っぱらった男を睨みつける以外、何も言えなかった。私は、ビールでビショビショになった服をハンカチで拭きながら、夫と子供を促してその場を去ることにした。とにかく上着もバッグも濡れていて気持ち悪いし、喧嘩沙汰になることは避けたかった。監視の男性には、服を見せながら何がおきたか怒って苦情を言った。監視の男性からはただ「I’m sorry!」の一言だけだった。子供たちも私の怒りは十分理解したようで、途中でホテルに帰ることに文句は言わなかった。
この試合、マリナーズは大負けだった。

翌日ポートランドに帰ったが、私の怒りはいつまでたっても収まらない。私は夫に、シアトルマリナーズに苦情の手紙を書くことを相談した。夫も賛成してくれた。
下記の英文がマリナーズに書いた手紙の内容である。

私が言いたかったことは:
 ①その日に起きたこのような事件について詳細を記すこと
 ②お金を払って野球を観にくる人全員にゲームを楽しむ権利があること
 ③苦情が何度もでているような観客に対しては球場側としてもっと責任を持ち、騒ぎをやめない場合、退席させるべきであること
 ④嫌煙権があるように球場で「嫌酒権」があってもいいのではないか
 ⑤アメリカでは車で野球観戦に来る人も多い。そのような状況で浴びるようにお酒を飲む客に限りなくお酒を売る。もし飲酒運転で事故でも起こした場合、誰の責任か。もちろん個人の責任だ。しかし利益優先の球場側にも責任があると私は思う。被害者はたまったものではない。
 ⑥チケットを送り返すので、この日のチケット代を返してほしい

マリナーズからは、何の返事も返って来なかった……。

しかし、その後、マリナーズは奈落の底に落ちるように悪夢の中に居続けている。その年、2003年のアメリカンリーグでの成績は良かったが、翌年2004年から2005年、2006年の3年連続、マリナーズは地区最下位だった。その後2008年、2010年、2011年、2012年、ず〜っと地区最下位であった。マリナーズは、アメリカンリーグ所属の14球団で唯一リーグ優勝およびワールドシリーズ進出を果たしたことのないチームである。マリナーズのイメージは「弱い」「最下位」が定着しつつある。

おまけに今年は、マリナーズの集客力の最有力者であったイチローが、シーズン途中でマリナーズを見限りニューヨークヤンキーズに移籍してしまった!

これはきっと2003年夏、私の手紙を無視した罰?そして私の怨念?が効き続けたのではないだろうかと思っている。47000人収容の大球場の一観客であっても、「苦情」があったとき真摯に対応しないとこのようになるのだ〜〜〜!!

イチローには、マリナーズ入団以来私たちに夢や喜びをたくさんくれたことに感謝している。これからもアメリカで頑張ってほしいし、応援し続けたいと思っている。

観客席から見えたイチロー。大きな声で名前を呼んで応援するとよく挨拶をしてくれていた。


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〈マリナーズへの手紙〉

August 23, 2003

Seattle Mariners
Community Relation Department
PO Box
Seattle, WA 98104

Dear Sirs,

I’m a Japanese woman who has lived for 18 years in Portland OR. Since Ichiro came to the Mariners. I have become a big fan of the Mariners and enjoy going to an occasional games at Safeco Field.

My family and I drove up to Seattle for the game on August 1st this year. Even though it has been three weeks since that day, I'm still angry about what happened at that game, so I decided to write this letter to you.

That day it was the Mariners vs. the Chicago White Sox. My husband, my children and I sat in Section 213, seats 9-12. Unfortunately behind us was sitting a group of 7 or 8 male While Sox fans in their 20s or so. They were drunk when we arrived in our seats. They stood up all the time and shouted and screamed as the White Sox jumped out to a big lead. Of course it’s perfectly all right to shout in a big voice at a ball game.

But their behavior grew more and more rowdy. Perhaps someone complained about them. First a woman in a green shirt came and told them to tone it down, and then a few innings later a male stadium employee did the same. The drinkers spoke congenially with both officials, but when the officials left, they resumed their rowdy behavior, and continued to drink beer after beer.

I discovered that my camera bag and my purse, on the floor under my seat, were drenched with beer. The concrete under my seat was soaking wet with beer. My family and I had paid a lot of money for the tickets to this game, and we’d driven all the way from Portland, so we decided to ignore the rowdies and try to watch the game.

But during the 7th inning stretch the drunken rowdies began a leaping and dancing about and the person right behind me, who had been induced to join their fun, spilled his beer on my shoulder! I couldn’t take it any more and we left the game.

If I was a tough man I would have been tempted to attack all of them at once. My husband and I could have shouted at them or confronted them, but my children were with us, and I felt that leaving was the best thing to do.

I think that my family and I had the worst seats of 40,000 fans who went to Safeco Field for the game. But however much a person pays for a ticket, he or she has the right to watch the game without being harassed by other fans. Every stadium in the country should have rules about drunkenness and rowdy behavior. Maybe those drunken, rowdy fans left the stadium by car. If so, they could well have caused a serious traffic accident. Another fan might have actually started a brawl after having beer dumped on him.

These days non-smokers have the right to a smoke free environment. I suggest that your stadium and stadiums around America, need to set aside non-drinking sections so that families and elderly can enjoy baseball without having to listen to profanity and have their persons and possessions drenched in beer.

I am sending the tickets we used back to you with this letter. Our family made a special trip to Seattle for the game, and stayed an expensive hotel that evening. We were looking forward to this trip for several months, but now deeply regret having spent so much money for such a terrible experience at the game.

My husband and I hope that you will do the right thing and return to us the money that we paid for the tickets to the worst seats I have ever had at a baseball game in the United State or in Japan.

We do plan to go again to see the Mariners play ball, and we certainly hope that nothing like this will ever happen again.

Sincerely,

Toshimi Tanaka

Address:

今年も私のエッセイを読んでいただき、ありがとうございました。
 どうぞ健康で良い新年を迎えられますよう願っております。

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