ボストン通信ブログ

銃規制法案

コネチカット州ニュータウンのサンディフック小学校で起こった銃撃事件の後に民主党から提出された銃規制法案からアソールト・ウェポンの全面的な禁止を除くと、民主党上院の院内総務リード議員が発表した。これを外さない限り法案は通りそうにないためだと言う。アソールト・ウェポンとは、複数の弾を連射できる自動小銃のことである。コロラドの映画館、サンディフック小学校など、去年から次々と起こっている大きな銃撃事件のほとんどで使用されており、殺傷力が強いだけでなく、何十発も連続で撃てることが多数の死者を出す原因だと言われる。

アメリカでは修正憲法第二条で武器を持つ権利が保障されている。原文は次のとおりである。

A well regulated Militia, being necessary to the security of a free State, the right of the people to keep and bear Arms, shall not be infringed.

 ここでMilitiaというのは独立戦争時代にイギリスを相手に戦った人々のことであり一般人の銃所持を許すものではないという解釈から、アメリカ人のすべてが武器を持つことを許されているのだと言うもの、その中間と、意見は分かれている。また、どういった種類の武器が許されるのかについても大きく意見が分かれる。

450万人のメンバーを持つNRA (全米ライフル協会) は、多大な政治献金でとてつもない影響力を持つ。NRAから献金を受け取っている政治家、またはNRAのメンバーが多い地区に選挙区を持つ政治家は、修正憲法第二条を根拠にして銃規制法に断固反対するのである。それでも1994年には、クリントン大統領がアソールト・ウェポンを禁止する条項を10年の期限付きではあったけれども通すことに成功した。それがブッシュ大統領時代に失効して以来、そのままになっているのだ。銃の規制を公約のひとつにあげていたオバマ大統領は、ニュータウンの小学校で26名の死者が出た日、涙ながらに「大統領の特権を行使してでも銃の規制を徹底する」と断言した。バイデン副大統領も「自衛のためだったらアソールト・ウェポンではなく、ショットガンが一番」という発言をして物議をかもした。それにも関わらず、この民主党の腰砕けである。

今回、民主党のダイアン・ファインスタイン上院議員が提出した銃規制法案にはさまざまな条項が含まれている。銃を購入するには前科や精神的な疾病などのチェックが課されているのだが、それを店頭での購入に限らず、個人間や展示会での売買にも適用する、連発できる弾の数を制限するなどである。アソールト・ウェポンの禁止もその中に含まれているが、いくつもある条項の中でどれだけが合意に達するかが注目されている。

リード議員の発言があった日、ニュータウンの事件以来、銃規制を強く叫び続けているCNNのピアース・モーガンは、1999年にコロラド州の高校で起こった乱射事件を題材にしたドキュメンタリー映画「ボーリング・フォー・コロンバイン」の監督で、銃規制運動をずっと続けているマイケル・ムーアを招き、アソールト・ウェポンの禁止条項を銃規制法案からはずさないように働きかけようと共に訴えた。サンディフック小学校で、通報があってから警察が駆けつける短い時間に26人もの犠牲者がでたのは、アソールト・ウェポンが使われたためであり、これが単なるピストルで6発撃つごとに弾をこめなければならない状況だったら、こんな数の被害者は出ていなかったであろうこと。犯人が使った銃はすべて犯人の母親が正当に購入したものであり、バックグラウンドチェックを徹底しても、この事件を防ぐことはできなかったこと。事件の映像はいっさい公表されてはいないけれども、多くの子供たちが10発以上の弾を至近距離からあびせられていて、小さな遺体はたぶん人間のかたちを残していなかったであろうことを語り、今すぐリード議員と自分の州の上院議員にアソールト・ウェポンの規制をはずさないことを断固要求しようと訴えた。「今行動を起こさないのだったら、今後どんな状況になっても『あのとき銃の規制法案がちゃんと通っていたら』という文句は絶対言うな」というムーア監督の呼びかけが心に残った。

サンディフック小学校の事件以来、アソールト・ウェポンの禁止には国民の過半数が賛成していると複数のアンケートで報告されている。それにも関わらず、銃の規制法を最初から公約にあげていた大統領の所属する党が、自分たちが提出した法案からアソールト・ウェポン禁止を採決前に取り除いたというのには、驚きを通り越して怒りから「もうどうでもいいから勝手にして」というあきらめまで感じた。けれど、これだけはあきらめることなく、どうしたら反対の声を高めていくことができるかを調べながら運動に参加していこうと改めて思っている。

このサイトは翻訳学校サン・フレア アカデミーの運営です。

PAGETOP