TQE合格者インタビュー

【第63回TQE「特許明細書(化学)英→日」合格】 渡部 優一さん

1.自己紹介をお願いいたします

渡部優一です。フリーランスで特許翻訳を行っています。以前は「電機系の特許翻訳者」と名乗っていましたが、TQE「特許明細書(化学)」の合格以降は、電気・機械系から化学・医薬系までの万能戦士を自称しています。

2.これまでの英語学習歴を教えてください

大学受験対策で、意識的に構文把握と文意解釈の訓練をしました。それ以降、英語のみにターゲットを絞った学習は特にしていないと思います。ただ、研究や仕事の中で英語が絡んでいることは多かったので、間接的な形で現在まで学習は続いていると思います。
 今年は、ニュース英語のシャドウイングと原稿の暗記を新たに始めました。これは、依頼される翻訳の9割以上が「日→英」であり、簡潔な表現と明快な構文の立て方を取り込んでいこうと思ったのがきっかけです。また、最近は「日本人英語に特有の誤りパターン」に関心があるので、この研究に役立ちそうな書籍や演習に取り組んでいます。

3.これまでの翻訳学習歴を教えてください

学生の頃、サン・フレア アカデミーの翻訳校正講座が新規開講され、面白そうだったので受講してみました。当時は他社の出版系校正講座にも参加していましたが、翻訳校正の方が面白かったので、修了後はそのままフリーランスの特許翻訳チェッカー(プルーフリーダー)となりました。基本的には翻訳技術はその仕事の中で学び取っていきました。
 やがてフルタイムで校正を行うようになり、それからさらに半年ぐらい経った頃でしょうか、「より良い翻訳」を自らも追求したいと思い始め、スキルアップの一環として特許科目のTQEを受験するようになりました。それ以降は、TQEの受験自体が翻訳学習であり、ペースメーカーでもありました。
 大量の文書をチェックする中で知識やテクニックが大雑把な形で蓄積されていくのですが、まずはそれを頭の中で整理します。次にTQEを受験することによって、整理したものを客観的な基準で分析してもらいます。それを3年近く続けました。要するに、吸収したものを内部と外部で点検するプロセスを約3年間繰り返していたということになります。
 毎回の個別コメントのおかげか、TQEには合格しましたが、自己流をそのまま延々と続けるのは少々危険であると考えました。校正作業の中で自覚なく吸収してしまっている悪い書き方を矯正し、解釈と表現についてもスキルアップする必要性を感じました。そこで、TQE の合格が受講資格となっていたPre-OJTに申し込みました。2013年現在の学院長である岡田先生が担当講師でしたが、このとき初めて、人から翻訳を直接教わる経験をしました。
 それから現在まで数多くのセミナーや勉強会に参加しており、紙数の関係で全て紹介することはできません。最近のサン・フレア アカデミー関連では、昨年末から特許明細書英語科Bを通信で受講しています。遅々として進んでいませんが、年内には修了したいですね。

4.翻訳をしようと思ったきっかけを教えてください

上記の通りです。好奇心と成り行きで翻訳チェッカーとなりましたが、そこで得られる経験を活かしつつステップアップするには、自ら翻訳するようになるのが最も良いと考えました。

5.TQEを受験されたきっかけは何ですか?

特許科目については上記の「3」で述べた通りですが、手元の記録によると、さらに2、3年遡った2005年に「時事・新聞」で初受験しているようです。
 当時私は大学生でした。文学部だったこともあり、英検や仏検などの外国語資格を取る人が周りに比較的多く、また、就職活動のためか、TOEICも人気の試験でした。
 ただ、昔の私は他人とは違うことがしたくなる性分だったのか、メジャーな試験にはあまり興味がわきませんでした。それでも資格や検定にはそれなりに興味がありました。資格ガイドを見ているときにTQEの存在を知り、語学関連の試験の中でも翻訳の検定を受けている人は周りに見当たらなかったので、そのまま勢いで申し込んでみました。

6.TQE合格のために苦労した点、悩んだ点はどういったことでしょうか

合格まであと2、3点というところまではたいてい誰でも到達できるのですが、その先が大変だと感じます。私も一度合格するまでは、いわゆる「69点の壁」に何度も阻まれており、これといって大きなミスがなさそうな答案でも、「細部の精度を上げましょう」のようコメントが付き、決め手がなさそうな印象を受けていました。そしてその印象は、「合格まであと一歩」が何度も続くうちに、何をどうやっても受からないような錯覚に発展していきました。

7.苦労した点、悩んだ点はどのように解決されましたか

上記の「錯覚」は一度合格することで消えました。不合格が続いてもあまり気にせず、より良い翻訳文を目指して受験を繰り返すことが大事なようです。
 また、採点者側が勘違いしそうなところをできるだけつぶすために、訳注を実務時よりも少し多めにつけるようにして日英は合格しました。ただ、最近の英日受験ではなるべく訳文のみに説得力をもたせることを目指しています。

8.これまで、第53回「特許IT・通信 日→英」、第56回「特許機械 英→日」、第61回「特許電気 英→日」、そして第63回「特許化学 英→日」と何度も合格されています。これらの分野を受験するために参考になる書籍、資料、ウェブサイトなどはありますか。また、何度も挑戦されている理由をお聞かせください

渡部さんお薦め『化学I・IIの新研究―理系大学受験』(三省堂)

書籍や資料については、原文の内容に応じて臨機応変に複数参照するものなので、「誰にとっても参考になるもの」という観点では挙げにくいのですが、今回は『化学I・IIの新研究―理系大学受験』(三省堂)をお薦めしておきたいと思います。これは大学受験用の参考書ですが、高校化学の辞書のように利用できます。特に、「文系なので理系の知識に不安がある」とか「機械専門なので化学はちょっと……」と考えがちな人にはぴったりです。
 辞書は、PASORAMA搭載の電子辞書が役立ちます。また、特許に関しては特許電子図書館とEspacenetの活用も有効なので、利用法に習熟しておく必要があると思います。
 TQEに何度も挑戦しているのは、実務の中で蓄積されつつある知識や翻訳スキルを客観的に見直し、さらに磨き上げるため、というのが大きな理由です。上の方で既に述べましたが、積み上げてきているものを外部の目で点検してもらう機会として利用しています。初回合格以降も年に1、2回受験してきましたが、有効に利用できていると感じます。ただ、同じ科目を何度も受けるのも芸がないので、最近は、毎回異なる分野に挑戦することにしています。取扱い分野を拡大するための訓練としても利用しているわけです。

9.これからの翻訳者としての計画を教えてください

最近は翻訳者育成に関心があります。資質のある翻訳者たちがついて行きたいと思える指導者となり、小規模の翻訳チームを編成しようと考えています。頼れるリーダーがいる翻訳会社には、レートが少々低くても一緒に仕事をしようと思える環境が存在するので、自分もそのような場の形成を目指しています。最強チームの結成がいったん軌道に乗れば、加入条件には「翻訳実務検定(TQE)3科目以上の合格」などを掲げてみたいですね。
 既存の枠の中でどう振る舞っていくかを考える翻訳者は多いのですが、流れに逆らってみたり流れを読んで動いたりするだけでなく、流れを作ること、つまり、新しい翻訳消費文化の開拓を狙える人たちを探し出し、協力する形で、今後の作戦を練っていきたいと思います。

10.TQE合格を目指して勉強中の方々に、メッセージをお願いします

「難しそう」とか「自分にはまだ早い」という理由で受験していない翻訳者志望の方も多いのですが、TQEを利用する方針でいくと決めた場合は、とりあえず早めに一回受けてみるべきです。そこで得たヒントを基に、その後の方向性を決めたり、軌道修正をしたりしていくといいと思います。
 落ちてもあまり気にする必要はないと思います。熟練した講師も「自分が受験者として専門科目を受けても3回に1回ぐらいは落ちそう」と言っているのを聞きますし、短期決戦の勝負強さで勝る私が得意科目を繰り返し受けても、4、5回に1回ぐらいは落ちると思います。科目を変えればもっと敗戦回数は増えていきそうですが、私はあまり気にしないつもりです。  そして、検定試験を軸にして訓練するのが合っていると感じる人は、ぜひしつこく受験を続けてみてほしいと思います(合わないと感じる人は、検定にこだわらず、いろいろ試していくといいと思います)。  検定試験を受けるに当たって大事なのは、自分なりのテーマをもって臨むことだと思います。これを実践できれば、たいていの試験は自学自習よりも遥かに大きな効果が期待できるはずです。

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