ボストン通信ブログ

White Barn Farm

「日本がアメリカからの小麦の輸入を止めたらしい。GMO (遺伝子組み換え) を懸念してっていうけど、放射能に汚染されてる国に言われてりゃ世話がない」政治コメディアンのビル・マーが言う。アメリカではグルテン・アレルギーが100人に一人くらいの割合で出ていて、その数はどんどん増えているらしい。ここ数十年の間に遺伝子の組み換えをされた小麦が市場のほとんどを占めたことが原因だとする説がある。そんなこともあって、遺伝子組み換えが大部分を占める小麦粉と大豆を避けるべきだという声が強くなっている。小麦粉も大豆も材料としていろいろな食品に混ざっているので全面的に避けるのは無理だけれども、あやしそうな食品はできるだけオルガニック食品のスーパーで買うようにしている。日本人の友達に誘発されて、オルガニックの大豆を取り寄せ、納豆やみそも自分で作り始めた。ほんの数か月前、オルガニックスーパーを含めて近所のお店では見つからなかったオルガニックの大豆が、1か月ほど前から普通のスーパーに並ぶようになった。

養蜂のクラスで紹介された先輩は家の裏の森を突っ切ると歩いて15分くらいのところに住むご近所さん。以前ケータリングをしていたというお料理上手の奥さんとそろって、食べ物の話をすると尽きることがない。近所の無農薬野菜のファームの会員になっていて、春から夏の終わりにかけて毎週いろいろな野菜が届くと聞いていた。そのファームで毎年恒例の野菜や花の苗の売り出しがあるからと、いっしょに連れて行ってもらった。5月中旬の土曜日、朝10時に始まると言うので、10分前に行ったら、すでに大きな駐車場が半分以上埋まるほどの盛況ぶりで、レジには列ができ始めていた。無農薬野菜に興味のある人がこんなにいるとは思いもしなかった。野菜の苗は、大型犬の子犬の脚を思わせるしっかりとした茎で、いかにも栄養をいっぱい吸い上げて育った感じで、ホームセンターの丈だけ高い苗とは全然違う。このファーム、週末にはオルガニックスーパーでよく見かけるパン屋さんや、天然ハチミツ、その日の朝荷揚げされた魚を売るトラックまで来ている。ここの野菜は葉っぱに小さな虫食いがあって、たしかに薬剤をいっさい使っていないのだなあと思う。青梗菜もラディッシュも、新鮮な野菜は食べるとからだにものすごい元気が入ってくる気がする。魚屋さんでは、お刺身で食べられるホタテ貝を、このあたりでは初めて買った。その辺のお寿司屋さんより、ずっとおいしかった。

まだ30代の女性オーナーがおばあちゃんの家の反対側の長い間使われていなかった土地で無農薬野菜のファームを始めたのは5年前。「地球の歩き方」にも載っていて、日本語のアナウンスもある Wrentham Premium Outlet Mallから車でほんの5分のところにある。そんな新しいファームがこんなにも有名になるというのは、無農薬野菜に対する興味がどんどん広がっているということに違いない。久しぶりにゆっくり話をしたお隣の奥さんも、お向かいのご主人も最近、庭で野菜を作り始めたと言う。スーパーでもできるだけオルガニックを選ぶとも言う。どちらの家も10年前はハンバーガーやホットドッグが好きな普通のアメリカ家庭だった。オルガニック食品への興味は、天然ハチミツにも及んでいるらしく、去年巣箱二つ分入手したミツバチのひとつが厳しい冬の間に全滅してしまったので、春に新しいミツバチを仕入れて近所の3軒に「見に来る?」と声をかけたところ、総勢14名が集まった。

オルガニック食品への興味の高まりは、そういった食品を扱うお店の増加からもうかがえる。日本では西友と提携しているWalmartは、安さの限界を追及することで知られ、業界でも率先して中国製品を取り入れた会社なのだが、ここも2年ほど前からオルガニックに乗り出している。国民の健康のためといった企業の道徳観のせいではなく、単にオルガニック食品がそれだけ売れ始めたからということらしい。大型会員制の倉庫店 BJ’s でもオルガニック食品がどんどん増えている。一方、農業への関心も若い年齢層で広がっているらしく、以前紹介した89歳の養蜂家ハワードさんの農場はお孫さんが継ぐことになって、ずっとほったらかしにされていたリンゴの木が姿を消して、ならされた地面に畝が作られ、どんどん農場らしくなってきた。主要道路からすぐ見える場所にある農場に若い後継ぎができたのは心強い。

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