ボストン通信ブログ

日本語放送

アメリカには日本語テレビ番組を放送するテレビジャパンというケーブル局がある。母が日本から遊びに来て、昼間ひとりで家にいるときに見てもらおうと入れたのだけれど、今は週の間にとりためたのを週末にまとめてみるのが楽しみになっている。「きょうの料理」、「きょうの健康」、「ためしてガッテン」、大河ドラマなど、NHKの番組が多いけれど、他の局のドラマも入っている。こうしてわたしは「ためしてガッテン」で仕入れた健康法を次々と試しては、忘れていくというのを繰り返している。

小さい時に祖父母と見て以来ずっと遠ざかっていた時代劇も、日本を離れたせいなのか、年のせいなのか、やたら見たくて、大河ドラマはたいてい見ている。アメリカではドラマがだいたい9月に始まって5月には終了してしまい、夏の間は再放送とリアリティ番組で占められる。見るものがないこともあって、今年は夫もいっしょに「八重の桜」を見ている。テレビジャパンのたいていの番組は英語の字幕など入らないのだけれど、大河ドラマは英語字幕をいれたものが1か月ほど遅れて放映されるのだ。今ちょうど鶴ヶ城の籠城が終わりに近づくあたりに来ている。

城から家臣とその家族は全員鶴ヶ城にのぼるようにとの通達があったとき、白装束の女性がたくさん出てきた。「あ、この人たち」とおもわずつぶやいたら、夫は「これが正装なのか」という。そうではなくて、自死を覚悟したとき、サムライとその家族は白装束を着たのだと説明すると、ものすごく驚いている。「戦の前になんで自分から死ぬんだ」という。サムライもその家族も敵に辱めをうける前に自ら命を絶ったのだと説明しても、「戦なんだから、敵を一人でもたおしてから死ぬべきなんじゃないか」と言う。西田敏行が演じる家老の妻 (宮崎美子) がまだ幼い子も含めて娘全員と自刃する場面では、「小さい子は母親が殺すのか」と呆然としている。白虎隊が自刃するところでも「なんで城に帰ろうとしないのか」と、思わず涙がこぼれる私の隣で唖然としている。薩長軍の大砲がどんどん城の中に落ちて、もはやこれまでと思われる時に家老二人が互いに刀を刺し違えて死ぬ時も「なんで敵を一人でも倒そうとしないのか」と言っている。「敵につかまったら殺されて首をとられて、それがさらしものにされる可能性があるから、そんな恥をかかないように自分から死ぬのだ」と説明しながら、これは日本人じゃないと理解できないことなんだと気が付いた。

むかし、母に「うちは士農工商のどれだったの?」と聞いたとき、「両方ともねっからの平民」と言われてがっかりした。だからかもしれないけれど、夫の言っていることはなんとなくわかる気がする。

そのあとも夫は「Samurai - Headhunters」というNational Geographic局の番組を見ていた。そうかそうか、戦国時代は優秀なサムライをヘッドハントしたのかと思っていたら、戦で敵の首を大将に差し出して褒章をもらうという習慣を説明する内容だった。他にもなぜだか日本刀や弓矢の特別番組がときどきある。他の刀と違い、日本刀がいかに人を斬るのに適した鋭い刃をもっているかを、ゼリーで作った人体を斬る実演で証明するといった内容である。昔は死罪になる罪人を使って試し斬りをしたという、ぎょっとした内容まで図を使って紹介されている。西洋の刀とかバイキングが使った刀とかを紹介する番組は見たことがない。この「サムライ」に対する好奇心はいったいなんなんだろうと思う一方、アメリカ人はこういうのを見て、いったいどういう反応をするのか、とても興味がわいてきた。

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