Did you know that?

54.福島県南相馬市とオレゴン州ペンデルトン市(後半)

人口16,000人のオレゴンの小さな街ペンデルトン市に行った目的の一つは、年に一度9月の第2週目に開催されるお祭り「Round-Up」(注−1)を観ることでもあった。「Round-Up」がこの街で行なわれるようになったのは、1910年までさかのぼる。

草原地帯であるこの地域は、小麦生産、家畜飼育、そして羊毛産業であるPendleton Woolen Millsの製造販売でなりたっている。近くに栄えた街はない。ポートランドまでは約340キロ、車で3時間半もかかる。昔は馬車で一週間かったかもしれない。人々の楽しみは何だろうか?また、孤立した街の人口増加、活性化をどのようにするかは大きな課題であっただろう(参照:35.オレゴンの田舎町「Ashland」とシェークスピア)。

East Oregonian Photo ロディオ競技が行なわれるアリーナ


ロディオを楽しむ為に集まった観客


何故女性ばかりでなく男性もそして観客の多くがピンクの服を着ているのか? 「G. Komen Race For the Cure」という乳癌撲滅の為のレースがこの週末の15日に全米で開かれた。 それに敬意を表し、この日には観客もピンクを着てくる。私もたまたまだったがピンクの帽子をかぶっていった。

(参照:8.乳癌治癒募金運動に参加して

「Pendleton Round-Up」は、1930年代半ばには36州、8ヶ国から人々が訪れるようになり、現在5万人もが集まる祭りにと成長していった。では、どのように集客数を増やしていくのか?一週間の祭りには、パレード、コンサート、ダンス、屋台や小さな野外コンサート、 Happy Canyon Indian Pageantと呼ばれる野外劇などの催し物がある。しかし最も特徴あるものは、アリーナで行なわれるロディオである。

ロディオと言っても日本人にはなじみが薄いので、少しAmerican Rodeo競技の種類を紹介しよう。

Steer Wrestling (逃げる牛を馬に乗って追いかけ、馬から飛びおり牛の角を捕まえ引き倒す)
Calf Roping (逃げる子牛を騎馬で追いかけ投げ縄を首にかけ倒した後、後ろ両足をロープで縛る)
Team Roping (逃げる子牛を騎馬2頭で追いかけ、投げ縄を首にかけ、跳ねる子牛の後ろ両足にも投げ縄でロープをかける---後ろ両足共にロープがからないと失格であり、とても難しい)
Bareback Bronco Riding (サドルをつけない荒馬乗り)
Saddle Bronco Riding (半野生の荒馬乗り)
Bull Riding (荒牛乗り)
Wild Cow Milking (野生牛を捕まえ乳を搾る)
Barrel Racing (樽の周りを馬で走り廻る女性の競技—現在女性が参加できる唯一のもの)
Indian Racing (インデアンの少年たちによる裸馬3頭を揃え、3頭に乗り換え競技場を3周廻る競技)

Photo by Reiko Isono
 Calf Roping


Photo by Reiko Isono
 ロディオの一番の見せ物「荒馬乗り」。後ろのベルトを外してもらえるまで、痛みのため馬は狂ったように跳ね回る。

 

まあ、なんと勇ましい、「これが男だ〜!」と言わんばかりの競技に初めは驚いた。また、逃げる子牛に投げ縄をかけ引き倒すのは可哀想な気がしたが、放たれた子牛が怪我もなく元気に逃げていくのを見るとホッとした。
これらの競技には、優勝金額1万ドルを獲得する為に全米からカウボーイ(ガール)たちがやってくる(注−2)。どの競技も命がけなのだが、8秒間乗り続けなければ失格となる荒馬/牛乗りは観ていてもハラハラする。振り落とされた瞬間の動きによっては大怪我となることもある。又馬や牛がどれ程暴れ回るかも判定される為、乗り合わせた牛馬によっては運不運になりうるだろう(注−3)。牛は角があるし、馬よりもっと激しくぐるぐる回って振り落とそうとするので荒馬乗りよりもっと恐ろしいと思った。このため荒牛乗りには、競技者が振り落とされた瞬間、牛の注意を違う方向に向けさせる「Rodeo Clown」というピエロが出てきておどけてみせる。

これらの競技で私が一番感動したのは、Indian Racingであった。高校生ぐらいの男子がT-シャツに短パン姿で、手綱一つを頼りに裸馬に飛び乗り全速力で走る!1周廻ると降りて次の裸馬に乗り換え又1周。3頭目の馬に飛び乗って疾走する。優勝できると確信すると、手綱から手を離し両手をふって観客の歓声に応えながら走る。なんとまあ逞しいことか!

Photo by Reiko Isono
 裸馬に乗るインデアンの少年 

またこのお祭りには、インデアンのいろいろな部族が全米から集まる。ペンデルトンでは、インデアンの老若男女約1,000人がパレードやHappy Canyon Indian Pageantという野外劇などに参加する。この野外劇は、インデアンと白人の戦いと協和の歴史劇で(注−4)、月夜の下の大劇場には騎馬隊、幌馬車などが出てきて圧巻である。インデアンの部族は、競技場裏手にティピー(注—5)を組み立て1週間そこに滞在する。アメリカ政府が戦後30年を経て認め始めた「アメリカが多人種多民族で成り立つ国であるという事実」の一つの結晶がこの祭りで観られたような気がした。第二次大戦後つい近年まで、「アメリカの国歌」は、英語でしか歌われなかった。歌うことができなかったと言った方がいいかもしれない。しかし、今回野外劇の始まりは、インデアンの言葉でインデアンの女性が歌った。初めて聞く言語のアメリカ国歌はとても美しい響きであった。

インデアンのプリンセスはとても美しく、多くの催し物で大活躍であった。 他にもいろいろなロディオのプリンセスがいる。


Happy Canyon の野外劇

さて、アメリカに肥満が多いことは周知の事実である。私はペンデルトンで病的とも言える肥満(obesity)の人が多いのに驚いた。どうしたらあのように太れるのだろうか?何を食べているのだろうか?あの人たちは健康なのだろうか?
疑問がいろいろと湧いてくる。

福島第一原発事故による放射能が人々に与える害が心配されるのは当然だ。しかし、私たちは自分たちが毎日食べる食品、スーパーやコンビニで買う食べ物、レストラン、ファーストフード店の食事に含まれる不健康なものに対しては比較的寛容なのではないだろうか。目に見えない害としては、放射能と同じくらい怖いのかもしれない。

初めて訪れたペンデルトンで、私は思いもかけず多くのことを学び、またお祭りを楽しんだ。南相馬市とペンデルトン市の交換留学制度が再開し、これからも素晴らしい友好関係が続くことを願っている。

ところで、人口と同じくらい馬のいる街ペンデルトン。人々はこよなく馬を愛している。このような街で、私の出身地熊本の特産品が「馬刺」であるとは、口が裂けても言えなかった!!

南相馬市の親善大使を務められるUさんとペンデルトンの酒屋さんで会った超美人でスタイル抜群のカウガールたち。

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