Did you know that?

55.日本酒(Sake)はアメリカでブームになるか?

日本食が12月「世界無形文化遺産」に登録されることになったと聞いた。インターネットで調べてみると、確からしい。日本食が「世界無形文化遺産」になると、どのような効果があるのか分からないが、とにかく素晴らしいことなのだろう。日本食は世界中でブームになってきているらしい。

さて、10月末、夫の元学生が経営する日本食レストランでパーティがあった。夫は、学生たちに義理堅く、頑張っている現、元学生たちから、「演劇にでる、オペラにでる 、踊る、レストランを始めた」等々連絡が入ると、万障繰り合わせて出かけていく。今回も「一人65ドルは高い夕食(チップも入れると80ドル近くなる)だけれど、学生が頑張っているパーティなので応援の意味もある」というので、2人揃って行くことにした。

パーティに集まった人たち。料理とお酒の説明を聞いている。80人程がいたと思うが、日本人参加者は私だけだった。雲丹がのった茶碗蒸しが出されている。

実はこのパーティは、日本酒を味わう人を募ったパーティだった。各料理に合わせた日本酒を飲ませくれる。
アメリカ的日本料理と日本酒の組み合わせの料理コースは面白いので、ここでコースメニューを紹介したいと思う。

 Corse 1: Sashimi----of Kumamoto oyster & Oregon Albacore Tuna
      Sake: Seikyo”Omachi” Junmai Ginjo

 Corse 2: Grilled Squash----with Kiyokawa Apples
      Sake: Joto Nigori

 Corse 3: Chawanmushi----with Uni & Shiitake
      Seikyo”Takehara” Junmai

 Corse 4: Wagyu Tri-Tip----with Autumn Vegitables
      Sake: Joto Daiginjo

 Corse 5: Coupole & Hafod Cheddar----Sasha’s hand selected Cheese
      Maboroshi Junmai Ginjo

料理は、この地方で手に入る食材でアメリカ人が考えたメニューであり、思いもかけないような料理もあった。

まず、コース1前菜「Sashimi」は、牡蠣とアルバコアツナの刺身。マグロは塩とシーズニングで味付けされていた。日本人の私は、刺身は醤油とワサビで食べたい!牡蠣は「Kumamoto Oyster」として、オレゴンとワシントン州で生産され、特にオレゴンのレストランでは、「Kumamoto Oyster」としてよく食べられている。小振りでとてもおいしい。

写真を撮り忘れ、少し食べてしまった前菜

コース2「Grilled Squash 」は、カボチャと日系人経営の農園でとれるリンゴ、イタリアンパセリ、きのこ、ナッツ数種が入ったサラダ。組み合わせの発想が面白い。

コース3の「Chawanmushi 」は冷やしたものが出された。「えっ!冷えた茶碗蒸し?」茶碗蒸しは温かいものだという既成概念を覆すものであった。その上、その茶碗蒸しの上には、大きな「ウニ」がのっていた。おいしかった!茶碗蒸しの味付けも「どうせアメリカ人が作ったものと思っては失礼!」。日本の高級料亭並?の味だった。また、のせてあったウニが新鮮で、お〜きく、柔らかく、ふかふかで、口に入れるととろけた……。「冷えた茶碗蒸しの上にウニをのせる……」伝統の日本食にこだわらず、違った発想がなければできないことだ。カリフォルニア在住の参加者から、「この『 Chawanmushi』というのは、ロサンゼルスでも食べられるのか?こんなにおいしいのなら毎日でも食べにいきたい!」と言われた程だ。私もそう思った。

コース4は、「Wagyu Tri-Tip」と書いてあるが、和牛は日本から取り寄せるには高すぎる。きっとアメリカ産の和牛?だろう。柔らかくおいしかったが、緑色のソースと付け合わせ「秋野菜の炒め物」の味付けが何とも日本食と違ったおいしさだった。

和牛とハープのソース、秋野菜。箸置きがなかったので、前菜で食べた牡蠣の殻を箸置きに使った。参加者の中で、きっと夫と私だけがそのように使ったと思う。

コース5は、「Coupole & Hafod Cheddar」チーズ2種と梨のスライス、それにアップルバター添えである。古今東西?「チーズにはワイン」というイメージだが、誰もが日本酒との新鮮な組み合わせに舌鼓をうっていた。このパーティ主催の関係で日本から来られている酒造会社の社長Nさんが、アップルバターがおいしく、また日本酒に合うので作ってみたいと作り方を聞かれ、また瓶詰めも買って帰られた。

チーズ、梨、アップルソース

これらの各料理に合う「日本酒」が、ワイングラス(?)に冷酒で出された。本醸造酒、純米吟醸、濁り酒、大吟醸など選りすぐった銘柄の酒であった。どの客も一滴も残さず飲み干していた。これほど日本酒が好きだから、参加したに違いないのだろうが、皆がおいしそうに飲む様子を見ると、「下戸」である自分が悲しかった……。

左の写真:ワイングラスに注がれた日本酒 右の写真:夫の元学生オーナーシェフGabe(左)と料理をGabeと考案し作ったシェフ

さて、このパーティの目的は、日本の酒造会社の販売網を広げることであった。もちろん、その他にアメリカ人に「日本酒のおいしさを味わってもう」と言うのもある。広島県竹原市のN酒造会社は、アメリカにも提携販売網の会社を持ち、ニューヨーク、ミネアポリス、カリフォルニア、ポートランドなどを拠点に全米35州で販売されているようだ。ここポートランドには、若くて美しい女性の社員「ステラ」が、N酒造の売り込みの仕事をしている。

そのステラから連絡があり、「突然予定していた通訳の人ができなくなったので、急だけれど明日この会社のN社長さんの通訳をしてもらえないか」と頼まれた。私は通訳を仕事としてはいないが、困った人から頼まれると、つい「ハイ!」と引受けてしまう癖がある。日本酒のことなど殆どわからなかったが、日本酒に関わることをできるだけ勉強し通訳にのぞんだ。

この通訳の仕事は、ポートランド地方にある日本食レストランへ行き、「自社日本酒−Sake」を買ってもらうために、店長さんに竹原地方の酒造の歴史や会社の概要、酒の種類を説明することだった。説明の合間に、この会社の酒数種類を店長初め料理人に味わってもらった。その酒には、最高級「純米大吟醸」(720ミリリットルで100ドルを遥かに超える)も含まれており、普段は高価格なのでなかなか味わえない酒を惜しげもなくふるまわれた。

アメリカの一般的レストランでは、ビールやワインリストが食事メニューと一緒に持ってこられる。日本で言ういわゆる洋酒も揃えてあるところが多い。しかし、日本酒や焼酎はなかなかお目にかかれない。日本酒は、日本料理店、寿司屋、Izakaya(居酒屋)、韓国系レストランなどでしか注文できないのである。また日本酒を買うには、日本食料品店かアジア系のマーケットに行かなければならない。もちろんインターネット社会の今、どのようなものもネット販売で買うことはできる。

日本(アジア)食料品店で売られている日本酒の棚。たくさんの種類がある。この店にはこのような棚が3、4列ある。

訪問したあるレストランの店長が言ったことが面白かった。彼の店は、この地方でも中産階級(アメリカではMiddle Classはあまり裕福ではない)の人が多い。日本酒の味の違いがわかる程何種類もの高いお酒は飲めない。また食事(Dinner)と一緒に飲むので、それ程高価な酒を飲まなくても良いそうである。レストランの一角に並べてある日本酒を選ぶ場合も、瓶の形やラベルで選ぶ人も多いそうだ。もちろんウエイターやウエイトレスに味や値段について相談する人もおおい。
 ただ、日本酒の瓶の形は殆ど同じで面白くない。焼酎やウイスキーは、販売低迷期に瓶の形を変えて販売したところ売り上げが伸びたと聞いたことがある。もちろん中身そのものも改良されたことだろう。

レストランに並べられた日本酒の瓶。これらの瓶は空で、飾りとして使われている。このレストランは、料理がおいしく日本人にもアメリカ人にも人気がある。

このN社長さん曰く、日本酒は地方の酒造会社に関しては(大手酒造会社をのぞいて)、広告やテレビコマーシャルで売り上げが伸びることは少なく、口コミが一番確実に顧客を増やす方法だそうである。その為にもこのような試飲パーティを開き、日本酒愛好家を増やしておられるのだろう。地道に世界中を廻られていると聞いた。

キッコーマン醤油が戦後の低迷期脱却の為にアメリカ市場に目をつけ、地道な販売網を広げ始めて半世紀以上がたつ。2年程前キッコーマン代表取締役会長の茂木友三郎氏がご夫人同伴で夫の大学(Portland State University)に講演にこられた。講演では、醤油の販売はカリフォルニアでバーベキューをしている家庭に醤油のおいしさを知ってもらうことから始まったと言われた。現在ウィスコンシン州工場で生産された醤油が全米で売られている。また世界中の販売は一億本に達しているそうだ。

「千里の道も一歩から」、日本酒の愛飲家が増え、日本の素晴らしい食品、製品がこれからも世界中で愛されることを願ってやまない。

ところで、夫はこの日本酒試飲パーティで、日本酒がますます好きになった。以前は、日本酒を飲むと「二日酔いがする」と好んでは飲まなかった。きっと、私が料理用に買っておいている安〜〜い一升瓶のお酒を飲んでいたからに違いない……。

よ〜し!これからは、夫のため我が家には、精米歩合50パーセント以下、醸造アルコールを添加しない、日本最高の技術で醸される『純米大吟醸』を常備しておくことにしよう!!



今年も私のエッセイを読んでいただき、ありがとうございました!
 私のエッセイ53号「福島県南相馬市とオレゴン州ペンデルトン市(前半)」の中で、ペンデルトン市の訪問団のことを書きました。11月末に連絡が入り、来年4月、市長を初めとした7名の要員が南相馬市を訪れられることが決まりました。これも親善大使を務めておられるUさんご夫妻や関係者の方々のお働きによるものだと思います。この訪問が有意義なものになりますよう祈るばかりです。

またポートランドにある商工会及びJASO(Japan America Society of Oregon)は、被災地支援として、バザーなどを通して寄付金を集め、昨年は南相馬市の小学校に、今年は孤児支援をされました。今後も続けていかれるそうです。このような支援が長くいろいろなところから続けられることを願っています。

どうぞ健康でよい新年を迎えられますようお祈り致します。

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