ボストン通信ブログ

政治的信条というもの

先月、スコットランドがイギリスから独立するかどうかの投票があったとき、少し気になることがあった。イエスかノーかという正反対の答えを選ぶことになった住民たちはその後ふつうの生活に戻れたのだろうか。アメリカではここ10年ほど、民主党と共和党がまったく歩み寄ることがない状態が続いている。政権をとっている民主党が出す案が、共和党が過半数を占める下院ではほとんどすべてとりあえず否決される。オバマが掲げた健康保険改正法など、4年前に法案が通されて以来、無効にしようという法案が50回以上も共和党から出されて、そのたび否決されている。これを受けてか、支持者の中でも意見の違いは感情的になっている。 マサチューセッツは圧倒的に民主党が強い州なので、政治的な意見が違って知り合いと口論になるということが以前はそれほどなかった。ところが、このごろなんとなく身の回りに共和党支持者が増えてきたように思う。近所のコストコのようなお店に行くと、並んでいるノンフィクションの本が圧倒的に共和党や右派系のもので、いわゆる左派インテリ層的な本というのがほとんどない。近所の6軒の中で過半数は共和党だと思う。友達関係もけっこうはっきりした共和党支持者がいる。もともと政治と宗教の話はするなとよく言われるので、確実に相手も自分と似た信条の持ち主だと確信がある場合を除いては、政治の話はしないようにしている。それでもけっこうどきりとするようなハプニングに出くわす。

夫の友人にとにかくオバマが許せない人がいて、真剣に「オバマはイスラム教徒だ」と言い切る。大学でエンジニアリングを学び、エンジニアとして定年まで勤め上げた人で、いわゆる南部の共和党支持の人たちとは違う。この人はまた「民主党がアメリカをどんどんダメな国にしている」と言い切る。これをレストランでディナーを楽しんでいる最中に始められると「またか」と正直うんざりする。

ヒラリー・クリントンが民主党の大統領候補の座をオバマと争っていたとき、夫と共通の女友達と夕食をいっしょにした。何でも話せる相手だったので、彼女が政治の話を始めた時も最初は大丈夫だと思っていた。昔はウーマンリブを固く信じ、リベラルで、女性でありながら男性が圧倒的な生産業でずっと働いていた人なのだけれども、数年前から政府は最小限に抑えて州の権限をもっと広げると主張するロン・ポールに入れ込んでいたのは知っていた。その彼女がヒラリー・クリントンの話になったとたん、ものすごい勢いでヒラリー批判を繰り広げた。それはヒラリーの政策がどうこうというものではなく、人間として、女として許せないという猛烈に感情的な内容で、そのうちほとんど怒鳴り声になり、わたしも夫もただただ唖然とした。 オバマが2期目に再選された直後、友人夫婦といっしょに感謝祭のディナーをうちでした。友達のご主人は、前の週に2年ほど勤めた会社でリストラに合っていた。ディナーがそろそろ終わるころ、その彼が突然、「お前らみたいなバカが民主党に投票するからアメリカはダメになるんだ」と言った。ディナーが終わるや、友達は「帰りましょう」と彼を連れて帰っていった。15年ほど前に初めて会ったころは、リベラルとはいかないまでも保守派ではない人だったから、わたしたちも気軽に政治の話をして、それでうちの政治的な意見もよく知っていたと思う。その前年あたりからかなり保守的になってきているとは感じていたけれど、これは本当にびっくりの事件だった。その後、彼と政治の話をすることは避け続けてきた。マサチューセッツ州知事デュバル・パトリックが絶対に許せないようなので、州知事の話は絶対に出さないように気を付けている。

政治的な意見が異なるというのは友達でもあり得ることで、それはお互い大人なのだから、そこまで感情的になることでもないだろうと思うのだけれども、政治の話はとても危険で、どんな相手ともできない感じになっている。最近、何かの記事で、結婚生活が長続きする要素のひとつとして、支持する政党が同じというのがあった。もっともだと思う。それで、スコットランドではあの投票以来、人間関係が変わっていたりはしないかと思ったのだった。

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