ボストン通信ブログ

バーニー・サンダース

大統領選を来年に控え、共和党、民主党ともに次々と候補者が出馬表明をしている。大方、ジェブ・ブッシュ (共和党) とヒラリー・クリントン (民主党) の戦いとなるだろうと誰もが思っていた。数多くの候補者がすでに名乗りをあげている共和党に対し、民主党の候補者は少し前までヒラリー一人だった。そこに4月末、「金融界と大金持ちに牙をむく」バーニー・サンダースが正式に出馬を発表したのだ。金融界や富裕層にあまりにも近すぎるヒラリーに国政をまかせることはできないと言う。クリントン家はビル・クリントンが大統領だったころ、ホワイトウォーター事件というスキャンダルがあったように、投資、蓄財にたけており、娘のチェルシーもクリントン財団の役員に就任する前はヘッジファンド会社で働いていたし、チェルシーの夫も投資のプロである。

バーニー・サンダースは民主党にも共和党にも属さない独立候補として、バーモント州バーリントンの市長から下院議員を16年、上院議員を9年務めている。2012年の上院議員選では71%の票を獲得して圧倒的な勝利を見せた。入国書類に「共産党に属していますか」という質問があり、「社会主義」という言葉は「共産主義」と同様に敬遠されるアメリカで、サンダースは民主社会主義を唱える。ベン・アンド・ジェリー・アイスクリームの発祥地であり、昔ヒッピーだった人達がたくさん住んでいるバーモントだから、サンダースのような圧倒的な左派を国会に送っているのだと誰もが思っていた。

ヒラリーと違ってイラク戦争に反対票を投じたサンダースの公約は、アメリカにはまだない政府による国民保健の確立、道路や橋など公共設備投資による景気回復、大型銀行の分割、大学の学費を下げるといった圧倒的な左派のものである。そのため「I like him but he can’t win」というのが大方の予想だった。それがここのところ、変わってきている。

アメリカの大統領選では、候補を決める最初の州であるニューハンプシャー、アイオワの動向が大きく影響を与えると言われている。多くの候補がアイオワで出馬表明をするのはそのせいである。最近その両州で行われたサンダースのラリーのあと、彼の支持率は15%から33%に飛び上がり、ヒラリーとの差を8ポイントまで縮めた。ヒラリーへの寄付が企業や団体に占められる割合が高いのに対し、サンダースがこの2か月に集めた15億ドルのうち87%が250ドル以下の寄付だったという。つまり、普通の人たちが多数、予想外に寄付をしているということである。

2007年の大統領選でも当初はヒラリーが民主党候補として選ばれるものだと思われていた。オバマは上院議員になったばかりの若い無名候補者にすぎなかった。だから今回もサンダースが嵐を起こすかもしれないと、マスコミは一斉に報道している。両党が候補を決めるまでまだ1年以上、実際の大統領選まではまだ1年3か月ある。それまでにまだ何が起こるかわからない。しかも、サンダースは選挙にはつきものの、対抗する候補者のスキャンダルをさがしてそれをたたくという戦い方は絶対にしないと公言している。対抗候補者は容赦なく、スキャンダルを見つけ、それを大々的にテレビやネットで公表するに違いない。現につい最近、バーニー・サンダースは40歳までこれといった定職もなかった単なるヒッピーで、2度の結婚を経験しているばかりでなく、その二人の妻以外の女性との間に男の子が一人いるという記事が Politico という雑誌に掲載された。政治家を評価するのに、政策や信条ではなく、個人的な内容で攻めるのはアメリカではよく使われる手段だ。有権者の感情に訴えるのが実にうまい。

バーニー・サンダースのことを「I like him but he can’t win」とずっと思っていた一人として、しばらくこの動きはすごく気になる。

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