ボストン通信ブログ

ジョー・バイデンが象徴するもの

ジョー・バイデン副大統領

ヒラリー・クリントンの人気がどんどん下がり、バーニー・サンダースがアイオワ州とニューハンプシャー州の支持率調査でついにヒラリーを追い越した。ヒラリーでは勝てないし、バーニー・サンダースは左派すぎるということで、バイデン副大統領の出馬を願う声が高まっている。オバマも「自分の後継者としてもっともふさわしいのはジョー・バイデン」と発言しており、バイデンの去就が注目される。そんな中、33年ぶりに司会者が変わったNBC局の深夜の超人気番組「Late Night」の最初の放送が9月7日に始まった。コメディ・セントラル局の超人気コメディ・ニュースショー「Daily Show」の特派員から始めて、あまりの人気から「Daily Show」のあとの時間帯で「Colvert Report」という自分のショーを9年間担当したスティーブン・コルベールが新しい司会者に選ばれた「Late Night」は大変な期待を集めていた。その最初の週のゲストの一人がジョー・バイデンだった。

ジョー・バイデンはアイルランド系ブルーカラーの家庭で長男として育ち、その親しみやすさから「Everybody likes Joe Biden」と言われる。失言が多いのでも有名だけれども、その失言というのは勘違いなど、大笑いで終わる内容が多く、人を傷つけるような内容ではない。ところがこの人の人生は大きな悲劇に満ちている。30歳で上院議員に選出された数週間後、クリスマスツリーを買いに出かけた妻と3人の子供が交通事故にあい、妻とまだ1歳だった娘が亡くなった。3歳と2歳だった息子も大怪我をし、何か月も入院した息子たちの世話をするために、バイデンは住居があったデラウェア州からワシントンまで電車通勤することを選んだ。こうして副大統領としてワシントンに移るまで、片道1時間半あまりの電車通勤を30年以上も続けた。妻の死から5年後、6度もプロポーズを断った現在の妻、ジルと結婚し、娘が生まれている。選挙に必ず家族を巻き込むアメリカの選挙で、バイデンは妻と子供たち、孫に囲まれて幸せそのものに見えた。長男のボーは州の最高判事を務め、その後、判事としてイラクで参戦し、近い将来、バイデンのあとをついで政治家になると思われていた。ところが今年の5月、そのボーが脳腫瘍で亡くなった。46歳の若さだった。その悲しみからまだ立ち直れないでいるバイデンは、大統領選に出てほしいという声にいまだ答えを出さずにいるのだ。

ジョー・バイデンと長男のボー

そんな中での「Late Night」への出演はいよいよ何か具体的な答えが出るのではという期待に満ちたものだった。当然、司会者のコルベールは大統領選に触れる。するとバイデンは「今の自分に大統領は務まらないと思う」と率直に語り始めた。「ジョー・バイデン、バージョン2.0」と呼ばれていた息子ボーの人となりやエピソードがたくさん紹介され、まだその死から立ち直れない自分には国や国民を第一に考えるべき地位につく資格がないと言う。司会のコルベールも10歳のとき、父親と兄二人を飛行機事故で亡くしている。バイデンの「君は家族を失うということがどういうことかよくわかっているから」という発言に「父の死後、ぼくは母親を育てたし、母親も僕を育ててくれた」と答え、ともに敬虔なカソリック教徒であることから、それが人生にどう影響しているかも語られた。政治家が、特に大統領選に出馬することを望まれている副大統領が、ここまで率直に自分の心境や宗教をテレビで語るというのは前代未聞で、コルベールによるこのインタビューは歴史に残る秀逸なものだと言われている。(このインタビューが見られます。こちらをクリック!)

ボーが残したまだ幼い二人の子供たちをちゃんと育てることが一番大事な使命だと以前も話したバイデン副大統領が選挙に出るかどうかはまだ明らかになっていない。オバマ大統領が「自分の後継者として一番推薦したいのはバイデン副大統領だ」と言い切っているにもかかわらず、である。世界のどこに行ってもきっと、政治家と「正直さ」は相いれないものだと多くの人々が思っているのではないか。桜の木のエピソードでも有名なジョージ・ワシントンが今でも大人気なのは、ワシントンの正直さもあってのことだと思う。あまりにも正直さに欠ける大統領が長い間選ばれてきたのち、アメリカの人々はそれを渇望しているのかもしれない。ジョー・バイデンが大統領になったら、有名な失言でどんな騒動を起こすかわからないけれども、これまでより政治の透明さが少しは望めるのではないかと思っているのかもしれない。

ジョー・バイデン ファミリー

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