Did you know that?

78. ハラスメント②「サイバー&オンライン」

嫌がらせ、いじめ、差別、偏見などは、人間誕生以来、集団生活の中で存在したハラスメント行為かもしれない。ここ数百年を振り返っただけでも、世界中どの国でも日常茶飯事起きていることではないだろうか。そして、ハラスメントの最悪の結果が強姦、レイプであり、被害者の自死につながることだと思う。

ハラスメントには30以上の種類があるらしい。セクハラ、パワハラが最も有名だが、いくつかインターネットに出ていた例を要約してみよう。

■ マタニティ・ハラスメント(妊娠や出産を理由に職場などで精神的、肉体的にいじめや嫌がらせを受ける)
■ モラル・ハラスメント(身体への直接的な暴力を伴わない言葉や態度などの見えない暴力によって、相手を自分がコントロールし支配下に置くことで精神的に被害者を追いつめる行為)
■ ジェンダー・ハラスメント(女性だから、男性だからとそれぞれの性別の固定的なイメージを強調した言動による差別)
■ セカンド・ハラスメント(セクシャル・ハラスメントの被害を会社に訴えたことが原因で、二次被害で会社から嫌がらせを受ける)
■ アカデミック・ハラスメント(学校や大学、研究室などで自分の地位や権力を使い、いじめや嫌がらせを行う)
等など。

ハラスメントは、基本的には個人対個人が多いと思うが、学校などの「いじめ」になると個人対集団になることがあるのでタチが悪い。

そして、この10数年の間に、このハラスメントに「巨大な攻撃力」が加わった。オンライン・ハラスメント(Online Harassment)である。サイバー・ブリング・ハラスメント(Cyber Bullying Harassment)、サイバー・ヒューミリエイション(Cyber Humiliation—屈辱を与える、辱めること)ともいう。
 オンライン(サイバー)・ハラスメントは、インターネットを介して行われるため、言葉が、動画が世界中に瞬く間に拡散される恐ろしさがある。

事の軽重はさておき、今まではナイフか拳銃で攻撃してきていたのが、いきなり原子爆弾で攻撃されるようになったと表現しても良いのではないかと思う。オンラインを介した場合、それほど、被害の大きさが拡大していると言える。

日本の学校でのいじめ問題は、世界中に広がることはほとんどないにしても、友人間、教室、学校内での陰湿なオンライン攻撃、ネットいじめが、被害者を死に追いやるケースが度々報道されている。親は、学校は、教師は一体何をしているのかと責められる。しかし、小さい頃から持たされている個人所有の携帯、アイフォンなど、インターネットを駆使できる世代の凶器は、親の監視が行き届かない分、なかなか見抜けないかもしれない。

アメリカでは、2010年9月ニュージャージー州ラトガース大学(Rutgers University)の学生2人が、ルームメイトの同性愛者のラブシーンを隠し撮り、ネットで中継する事件が起きた。

被害に遭ったのはバイオリンの名手として知られていた1年生のタイラー・クレメンティ(Tyler Clementi)、18歳だった。彼は、LGBT、ゲイであり性的マイノリティであった。大学の寮の自室で恋人の男性とのラブシーンを、ルームメートに隠し撮りされ、その映像がネット上で生中継された。ルームメイトは、他のオンラインにもその映像を載せ、ツイッター上にも、2人の様子を書き込んでいた。
 3日後、タイラーはジョージ・ワシントン・ブリッジから飛び降り自殺した。
 2人の容疑者は逮捕された。

若者の性行為が世界中に拡散されたこの事件は、アメリカでは、サイバー・オンライン攻撃犯罪として注目された。また被害者が、若く有能な性的マイノリティだったこと、そして彼が自殺したことによって大きな社会問題となった。

さて、私がアメリカに住み始めてもっとも驚いた恋愛事件は、もう随分前のことになるが、1998年に起きたホワイトハウスのインターンシップ実習生が、アメリカ大統領との不倫スキャンダルを起こしたことだった。彼女の名前は、モニカ・ルインスキー(Monica Lewinsky)。モニカは、私が住むポートランドの優秀な私立大学を卒業していたので、特に興味を持った。22歳の大学を卒業したばかりの女性に、アメリカ大統領が言い寄ってくるわけである。

このスキャンダルは、1998年から1999年にかけ米メディアで連日大々的に報じられ、その後、「Monica Lewinsky」の名前は、瞬く間に「アメリカ大統領と関係をもった『あの女』」として世界中に知れ渡った。

なぜか? この頃、彼女にとって最悪だったことは、パーソナル・コンピューターが一般家庭に普及し、インターネットが世界を繋ぎはじめたときだったからだ。22歳の夢も希望も将来もあった彼女は、汚名をきせられ社会から弾き出されてしまう。彼女の心の痛みは計り知れない。モニカの母親は、彼女が自殺するのではないかと案じ、長い間一瞬も、シャワーを浴びるときも寝るときも、片時も目を離さなかったそうだ。

妻も子供もいる大統領にどんな意図があったか?アメリカ大統領という世界でも最高の権威職につき、人望を備えた男性が22歳の女性に何を求めるか?
 軽いつもりの浮気か、性欲のはけ口か?可愛い魅力ある女性だったので、ちょっと好きになった?
 では、その行き着く先は?責任は?
 「アメリカ大統領という権力」を使った「パワハラ」、そして「セクハラ」ではなかったのか?
 アメリカ大統領を愛してしまったモニカは、あまりに大きな代償を払わなければならなかった。

世界中に知れ渡った彼女の顔と名前は、その後の彼女の生き方にも大きく影響した。再起を図ろうと就職活動をするが、履歴に書かれた名前と顔で、どこの会社にも採用されることはなかった。
 モニカは、誰でもが自分の意見や映像を発信できるオンライン・ハラスメントの最初の、そして最大の犠牲者だったのではないだろうか。

しかし、モニカは、その後イギリスで修士号を取り、苦しい時期を生き延びた。彼女は、オンライン・ハラスメントの犠牲者として自殺したTyler Clementiの死を機に、自分が公の場に出てこのような悲惨な事件が起きないよう活動をしなければならないと思ったそうだ。
 彼女は今、オンライン・ハラスメントを止めるべく、自分と同じような境遇にある人、又ハラスメントに悩む人、社会的弱者の立場に立って支援する活動をしている。

2018年 不死鳥のように美しく蘇った Monica Lewinsky

2015年3月、私は久しぶりにモニカの姿をテレビで見た。TED(下記参照)のスピーカとして登場していたのだ。彼女は当時の大統領への思い、心境を告白し、その後自分が受けたインターネット・ハラスメントの恐ろしさと危険性を自分の経験を交え訴えた。その姿は、美しく、彼女の発する一言一言が真実を語り、時には自嘲し、冗談を交えた話に感動を覚えた。この人が受けた心の傷を誰が計りしれようか。

しかし、彼女は、不死鳥のように羽ばたいてこのインターネット社会に戻ってきた。そして、このTEDで、メディアで、インターネットで、自分の再起を世界中に示し、自信に満ちた確固たる意見を発信している。

 

彼女は、TEDで話終わった後、総観客からスタンディングオベーションを受けた。これが、彼女の再起を確実に物語っていると思った。私は本当に嬉しかった。

Aさんも伊藤詩織さんもセクハラや強姦の被害者であるにも関わらず、その後インターネット社会のオンライン・ハラスメントを受けたようだ。これこそがサイバー・セカンド・ハラスメントではないだろうか。

Aさん、伊藤詩織さん、モニカ・ルインスキーさん、そして、ハラスメントを受けている人たち、権力や社会に負けないで!!応援しています!!


Monica LewinskyのTED出演。日本語字幕付き。
是非、彼女の再起を見て、聞いてください。
https://www.ted.com/talks/monica_lewinsky_the_price_of_shame?language=ja

TED:Talks are influential videos from expert speakers on education, business, science, tech and creativity, with subtitles in 100+ languages. Ideas free to stream and download.

西日本豪雨で被災された方々に、心よりお見舞いを申し上げます。
この災害のニュースが入ってきた時、私は、マサチューセッツ州東部あるCape Cod北端の小さな町Provincetownを訪れていました。
この町の人口は普段は4000人、しかし、夏になると全米から8〜9万もの人々が集まる観光街です。
インターネット時代、私はこの街で、西日本の広域にわたるの悲惨な豪雨災害を知り心を痛めました。
これから暑くなり大変だと思いますが、一日も早い復興を願っています。

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