Did you know that?

83. 「Stand for Children-恵まれない子供達を助けよう」と個人寄付−②

今年3月初め、朝5時ごろ目が覚めた私は、ぼんやりとしながらFacebookを見ていた。そこに入ってきたのは、Pink Martini のThomas Lauderdaleからのパーティ情報だった。

「えっ?Thomasのパーティ?」、目がぱっちり冴えた私は詳細を読んだ。
 「100ドルを寄付してください。寄付してくださる方は、我が家にきていただきます。簡単な食事が用意され、皆で楽しく歌をうたって過ごしましょう!」とある。
 「100ドルの寄付? 待て待て・・・、これは著名人Thomas Lauderdaleの名前を利用した詐欺グループの手口かもしれない」などと疑った私は、団体のサイト(Stand for Children/Oregon)を調べてみた。確かにしっかりしたNPO法人のようだ。

トーマス(Thomas)は、2011年3月、東日本大震災直後にアメリカ西海岸で活躍する友人のアーティストたちに依頼し、「東日本大震災救済コンサート」を開催した。彼の集金能力はすばらしく、1日で約24万ドル(約2500万円)を集め、日本に寄付した。このコンサートには、歌手の由紀さおりさんも賛助出演するために日本から駆けつけてくださった。私は、友人の関係から私が主催しているコーラスグループも出演してほしいという依頼を受け、私たちは、トーマスの伴奏で日本の歌を数曲舞台で歌った。
 しかし、その後トーマスが何かするらしいという情報は、アメリカ国内外のコンサートをどこでやっているかぐらいで、他のことはあまり情報が入っていなかった。

参照:37.オレゴンから愛をこめて「From Oregon with Love」

参加者に送られてきたNPO法人のチラシ

その朝すぐに一人で申し込んだ。誰かを誘おうかと思ったが、100ドルなのでちょっと躊躇した。ところが、この話を数人の友人にしたところ3人がすぐに一緒に行きたいと言ってくれ、結局4人で参加することになった。夫は、その日大学の授業があり参加できなかった。

パーティの日、玄関で出迎えてくれたトーマスは私のことを覚えていて、参加したことを喜んでくれた。150人程の参加者がいた。私たちは楽しくおしゃべりをしながら、食事をいただいた。参加者は様々で、私の知っている人は日本人も含め私の友人以外誰もいなかった。話してみると、Facebookを見て、「長い間Pink Martiniとトーマスのファンなので、思い切って参加した」という夫婦もいた。
 3階で食事をしたり談話を楽しんでいた私たちは、トーマスの伴奏でSing-alongがあるというので、1階(自宅兼スタジオは3階建てのビル)まで降りていった。しかし、このパーティはただ一緒に歌うだけではなく、トーマスの友人たちであるミュージシャンが数人参加し、美しい歌声を聴かせてくれるという素敵なおまけ付きだった。トーマスのピアノ演奏は素晴らしく、うっとりと聞き惚れた。彼と友人ピアニストの連弾伴奏は迫力満点!大きくスクリーンに映し出された歌詞を見ながら皆で大きな声で歌った。私たち4人は、ピアノの真横の席を陣取り、トーマスのピアノ演奏を目の前で見て聴くことができ、本当にご満悦だった。知らない歌もあったが適当に大きな声で歌った。私たちのすぐそばに座っていたアメリカ人中年女性たちは、ノリに乗って歌のリクエストをし、体を揺すって楽しそうに大声で歌っていた。
 「なんと素敵な時間だろう!!“100ドル”でこんなに楽しいパーティに参加できるなんて!」と、100ドルがなんだかとっても安い寄付に思えた。

パーティ参加者たちは、思い思いに自分の居場所を見つけてくつろいでいた。参加者は、トーマスの知り合いばかりではないだろうに、このように自分の大切なものがある部屋を提供する度量の大きさに驚いた。


1階でのコンサートの様子。ビルが3階まで吹き抜けになっているので、階段や上階からも楽しむことができた。

パーティは2時間ほどで終了したが、友人たちも私も、参加した全ての人たちが一緒に過ごした時間を十二分に楽しんだ。心地よい満足感に浸りながら、「こんなに素晴らしい企画と時間をありがとう!次の機会には、私は10人だって20人だって誘って参加したい」と思った。

1階に飾ってある由紀さおりさんのアルバムを見たときには、とても嬉しくなった。

「Stand for Children」のサポートパーティ企画を手伝ってくれたトーマスと仲間たち

このとき集まった寄付金がいくらになったのか知らないが、多分2万ドルぐらいではなかったのか。このように誰かと一緒に楽しみながら、恵まれない子供達、学生を援助するという運動は、きっといろいろな方法で、全米で行われているのではないかと思う。

ところで、私は、昨年逝去した父の初盆と雑用処理のために、7月初めから日本に3週間ほど帰った。ちょうど参議院選挙が公示された後だったので、候補者の意見をYoutubeやFacebookで興味深く知ることができた。山本太郎氏が立ち上げた「れいわ新選組」というのが特に興味を引き、いろいろ調べているうちに、重度の身体障害者を国会に送りたいという趣旨に感動した。山本太郎氏については、以前から国会中継などで聞く彼の答弁が、特にアメリカに関してもよく勉強しているな〜と感心していた。候補者を立てるのに資金がいる。一般の人たちから寄付を募っているとあったので、せっかくの機会だ、私も彼を応援してみようと思い、早速寄付を申し込んだ。

翌日郵便局に行って、どのようにして寄付をするのだろうと思ってキョロキョロウロウロしていると(慣れていない様子がすぐわかる)、局員の男性が、「何かお探しですか?」と聞いてきたので、「送金をしたいので、用紙を探しています・・・」と言った。
 男性は、ちょっと驚いた様子で、「送金ですか?おいくら程ですか?」と聞いてきた。
 「えっ?そんなこと聞くの?」と思ったが、私が、「1万円です」と言うと、さもホッとした様子で、「どちらに送金ですか?」と聞かれた。
 「えっ? 郵便局では、こんな個人情報まで聞くの?」と驚いたが、別に悪いことしているわけではないので、「れいわ新選組の山本太郎さんです」と答えた。
 すると男性は、ニコニコしながら、「それならあそこにATMの機会がありますので、あれで送金されると手数料がいりませんよ〜」と教えてくれた。
 「へえ〜、よく知っているな〜。親切だな〜」と思いながら、送金を済ませた。
局をでるとき、「無事送金できました〜。お世話をかけました〜」とお礼を言って出ようとすると、男性はさも嬉しそうにニコニコ顔で見送ってくれた。
 後で考えてみると、その局員は、私が「オレオレ詐欺」に引っかかって、大金を送金しようとしていると思ったのかもしれない。私のように戸惑っているような人には事前に詳細を尋ねることが、金融機関で徹底してきているのかもしれないと思った。
 しかし・・・、私、そんな大金を送金する余裕はないって!!
 個人個人の小さな寄付から総額4億円を超える寄付金が集まったという報告が届いた。
 一人では、大きなことはでき難いけれど、何かを支える、助けたいという小さな貢献も集まれば大きな力になるのではないかと思った。

アメリカでは、芸術関係の団体はいつも資金繰りに苦慮している。寄付を募るためにFundraising Partyを催し、参加者にパーティ券を買ってもらう。物品などのオークションをして運営資金を集める。または大手の企業、裕福な個人支援者に寄付を依頼することが多い。

我が家も長年、この地方の和太鼓グループ、人形劇団、学校や個人の寄付依頼にわずかではあるが寄付をし続けてきている。アメリカの弱小芸術団体などは、このような寄付で存続できている。
 現代社会の個人の寄付の役割は大きくなってきていると思う。

 

【追記】私の日本滞在中に「京都アニメーション」の火災が起きた。一人の男性の心ない行為が35名もの罪のない人を死に至らしめた。世界中から7月末現在10億円以上の募金が集まっているとの情報が入った。日本のアニメは、アメリカでも、子供たちから大学生、社会人まで多くの人を魅了してきた。これからもたくさんの寄付が集まり、ご遺族や負傷された方々、京都アニメーションの復興に役立てられることを願っている。

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