コーヒーブレイクde翻訳
出版翻訳や、翻訳道場を始めとする翻訳指導など、日々の業務で感じたことをつづっています。
訳を考えるのが面白い(19/05/21)
あるサイトで、こんな記事を見つけました。4月に逮捕されたウィキリークスの創始者アサンジ氏が飼っていた猫はどうしているのか、という記事。
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この中で目を引いたのは、
The WikiLeaks founder, …… has not fur-gotten about his feline friend.
Right meow, the cat is just waiting for him to be free.
In the clip, the cat appears to be purrfectly healthy,
の中の
fur-gotten
right meow
purrfectly
の3つの言葉です。辞書には出ていませんが、発音してみれば意味は分かります。

毛皮のfurを活かしたfur-gottenはforgotten、泣き声meowを使ったright meowはright now、喉をグルグル鳴らす音をrで表わしたpurrfectlyはperfectly。文字を見ただけで、猫を感じますね。さて、これらをどう訳しましょう? 

知り合いの翻訳者に、ギャグを連発したり、いくつもの意味をかけた表現が満載の文章を書いたりする人たちがいます。言葉の特性をよく知り、普段から言葉で遊んでいる人たちなので、上記英文が猫じゃらしのように見えるかもしれません。きっと夢中になって面白い訳を考えることでしょう。

たとえば、「ウィキリークスの創始者は、毛皮を着た友だちのことをあきらめてはいなかった」「猫は、ご主人がニャンとか解放されないものかと心待ちにしている」「健康状態はまったく問題にゃい!」なんていうのはどうでしょう?

でもちょっと鬱陶しい気も。原文を読んでそこに猫を感じたとしても、すべてを訳出するのはおススメできません。上の「毛皮を着た」がぎりぎりOKかな、と思います。柔らかい内容とはいえCNNの記事ですから、そこは適度に。あまりにニャンニャンするのは品位を落とします。ただ、こういう言葉遊びは言語訓練にはなるので、考えるのは大いにおススメです。

翻訳では方言やジョークを訳さなければならないことがよくあります。そんなとき、それを苦しいと思うか、楽しいと思うか。後者でありたいものですね。

ちなみに同じ記事の中にWikiLeaks let the cat out of the bag…という一文がありました。さて、これはどう訳しましょうか。

民話には方言や造語がたくさん出てきます。どちらの本も、訳者は(ウンウンうなりながら)楽しんだことでしょう。ぜひお読みください。

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