コーヒーブレイクde翻訳
出版翻訳や、翻訳道場を始めとする翻訳指導など、日々の業務で感じたことをつづっています。
本はどこから降りてくる?(19/07/18)
SNSをやっていると、誰それの訳本が出た、誰それの本が面白い、海外ではこんな本が売れているなどの情報が入ってきます。それらの情報は発信者の興味に基づいているので、スルーする本もあるのですが、ときどき、お、これは!と食指が動くものがあります。

そんな中で、なかなか読み進められないのですが、興味深い本がこれ。『文学の中の家』(スーザン・ハーラン 著、ベッカ・スタッドランダー イラスト、富原まさ江 訳、村上リコ 解説、エクスナレッジ、2019年)


『嵐が丘』『荒涼館』『マクベス』『ジェーン・エア』『風にのってきたメアリー・ポピンズ』『サウンド・オブ・ミュージック』『緋色の研究』等々、文芸作品の中に出てくる家と部屋の紹介です。語るのは主人公や執事やメイドたち。友人が語るという設定もあります。語り口は現代風で、ファブリーズやウェブサイト、ハッシュタグも出てきます。(きっと)物語の筋ばかりを追って読んでいたので、背景や風景である建物全体の姿や部屋の中の装飾は、記憶の中ではぼんやりとしています。でもこの本のおかげで、そういえばそういう描写があったな、とか、あれはそういう意味だったのか、とか、白黒やセピア色だった物語に色がつきました。こういう角度から文芸作品を論じる本は珍しいと思います。

そしてわたしにとってこの本は、思わぬ読書ガイドになりました。読んだことのある作品は、もう一度読みたいと思ったし、読んだことのない、または敬遠してきた作品も読んでみたいと思ったからです。これを早く読み終わって、読み直したい・新たに読みたい作品リストを作りたいような。そんな気分です。

みなさんはどこから本を探してくるのでしょうか。SNSの情報だったり、仕事の関係者から得た情報だったり。またはこういうジャンルと絞って、集中的にそのジャンルを攻めたり。もうひとつ、ぜひ試してほしいのは、書店の中を歩き回る作戦です。フィクション・ノンフィクション、硬軟とりまぜてあらゆる本が集まる書店で、表紙に誘われ、手触りに誘われて選ぶのも面白いものです。タイトルだけだったら選ばなかったかもしれない本にも、つい手が伸びるでしょう。

もうじき梅雨が明ける、と天気予報では言っています。暑い暑い夏の到来。最近は座って読める書店も登場しています。冷房の効いたお店の中で、お気に入りの何冊かを見つけるのもいいですね。

以前出かけた「文喫」という書店で買った本。タイトルだけでは選ばなかったと思います。プロローグを読んで決めた本です。

このサイトは翻訳学校サン・フレア アカデミーの運営です。

PAGETOP