コーヒーブレイクde翻訳
出版翻訳や、翻訳道場を始めとする翻訳指導など、日々の業務で感じたことをつづっています。
フランス文学に再挑戦――その後(17/10/21)
前回の記事(10月6日付)で、フランス文学が苦手だが、河野万里子さんに会って、サガンの『悲しみよこんにちは』を読み直してみる気になった、と書きました。はい、読みました。

今回は最後まで読んだので、ストーリーはわかりました。17歳の、反抗期を思わせる難しい年頃の、子どもではなく、大人でもない揺れる感情がストレートに伝わる作品だと思いました。でもストレートすぎて、手におえないとも感じ、周囲の大人が振り回される様子には、いらだちも覚えました。ただ一人、結果としてはじき出されてしまったアンヌは、決して嫌いなキャラクターではありませんでした。唯一、自分の規範に近い行動をとったので。

でも残念ながら、やっぱり肌に合いませんでした。自分の好みではない。とても大人びている、と感じたのが気に入らないのか。夏の日差しに肌をさらして、海岸で戯れる男女の姿にいらつくのか。表面的な「愛」が目について、落ち着かないからか。

河野万里子さんの訳は読みやすく、おかげで最後まで読めました。だから翻訳云々の問題ではなく、作品自体が好みか好みでないか、という問題だったのだと思います。河野さんの『星の王子さま』はもう一度読んでもいい、と思いましたしね。

そうなんです、『星の王子さま』は泣けました。とても心に響きました。というわけで、十把一絡げで「フランス文学は苦手」と言ったのは撤回します。「この作品が苦手」と言い直します。ちなみに英米文学について言うならば、わたしは『ジェーン・エア』が好きで繰り返し読みましたが、一方で『嵐が丘』は読もうとは思わなかった。シャーロット・ブロンテの『ジェーン・エア』は強い愛を抱きながら、それを表に出そうとせず、だいぶ遠回りしてから再会につながる話で、主人公と一緒に悲しんだり苦しんだりしつつも、未来への希望も感じました。しかしエミリー・ブロンテの『嵐が丘』は強い愛、激しい愛がぶつかり合う話(あらすじからそう解釈)で、尖った印象。読んでいてくたくたになりそうな予感がしたんでしょうね、きっと。同じイギリスの作家、しかも姉妹なのに、こうも印象が違うことを思えば、フランス文学の中にもなじむ作品があるはずです。探したいと思います。

ついでに『嵐が丘』も食わず嫌いせずに、読むことにします。もしかしたら、はまるかもしれない、と期待しながら。

最近読んだ3冊。積読山から救助した『夜想曲集』。腹が立った『動物農場』。東洋的趣にはまった『紙の動物園』。

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