ひとり演習
『ギリシャ人通訳』 演習-35(17/03/15)
 They had kept him in the house without the girl's knowledge, and the plaster over the face had been for the purpose of making recognition difficult in case she should ever catch a glimpse of him. Her feminine perception, however, had instantly seen through the disguise when, on the occasion of the interpreter's visit, she had seen him for the first time. The poor girl, however, was herself a prisoner, for there was no one about the house except the man who acted as coachman, and his wife, both of whom were tools of the conspirators. Finding that their secret was out, and that their prisoner was not to be coerced, the two villains with the girl had fled away at a few hours' notice from the furnished house which they had hired, having first, as they thought, taken vengeance both upon the man who had defied and the one who had betrayed them.
 Months afterwards a curious newspaper cutting reached us from Buda-Pesth. It told how two Englishmen who had been traveling with a woman had met with a tragic end. They had each been stabbed, it seems, and the Hungarian police were of opinion that they had quarreled and had inflicted mortal injuries upon each other. Holmes, however, is, I fancy, of a different way of thinking, and holds to this day that, if one could find the Grecian girl, one might learn how the wrongs of herself and her brother came to be avenged.


 男たちは妹に知らせないまま兄を家に監禁した。その顔に絆創膏を貼ったのは、もし妹が姿を見かけたとしても誰とすぐにわからないようにするためだ。しかし通訳が来たときに初めてその男の顔を見て、女の勘が見抜いた。とはいえ、気の毒なことに妹もまた囚われの身。その家で働いているのは御者役の男とその妻だけで、二人とも悪党の手先だった。秘密がばれた、兄は言うことをききそうにない、と悟った悪党たちは、広告が出てから数時間で、借りていた家具付きの家から妹をつれて逃げ出した。そしてそのつもりだったのだろう、逃げ出す前に拒んだ男と裏切った男の両方に恨みをはらした。
 数か月後、奇妙な新聞の切り抜きがブダペストから届いた。それによると、女性を一人つれて旅をしていた二人のイギリス人が、無残な最期を遂げたのだという。二人とも刺されたらしく、喧嘩をして互いに致命傷を負わせたというのがハンガリーの警察の見解だった。しかしホームズの見解は違っていると思う。もしギリシャ人の女性を見つけることができれば、いかにして彼女と兄が受けた酷い仕打ちの復讐がなされたかわかるはずだ、と今でも考えているのである。

・seen through the disguiseのdisguiseは「変装」ですが、ここでその言葉は合わない。前からの流れで絆創膏を貼られた顔を指すことは明確なので、「見抜いた」で十分でしょう。
・the poor girlは「かわいそうな、気の毒な妹」ですが、これを書いているワトソンの感情が表されたpoorなので「気の毒なことに、かわいそうなことに」と副詞的に訳す方が自然かも。
・about the houseのaboutには「従事」の意がある。御者とその妻はまさに従事者。
・Finding that their secret was outのwas outはfindingと同じ時制で「秘密がばれている」状態を表します。訳ではそれを含めた「ばれた」を使用。
・having firstの部分は、「最初に~をしてから、逃げ出した」が直訳。著者の頭に浮かんだまま訳すために、「逃げ出す前に」をいれて調整してみました。
・as they thoughtはhaving taken vengeanceにかかるので、「報復をすると考えたように」の意。
・a curious newspaper cutting reached us、誰が送ってきたのでしょう? 新聞そのものなら取り寄せたかもしれませんが、cuttingですから。ここはわかりません。
・two Englishmen who had been traveling with a womanのa womanは、one womanではないので「ひとりの」と表現する必要はないかもしれません。でも、男性が二人なので「女性を連れて」としただけでは女性が二人いる可能性も考えられてしまうので、ここはあえて「女性を一人」としてみました。

以上

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