コーヒーブレイクde翻訳
出版翻訳や、翻訳道場を始めとする翻訳指導など、日々の業務で感じたことをつづっています。
奥様が申しております(?)(14/09/15)
敬老の日です。今までは老親のことを考える日でしたが、最近は自分がもっと年をとったらどうしよう、などと考えたりする日です。

さて、先日翻訳道場の採点をしていて、どのように説明しようと思ったことがありました。敬語の問題です。

その家の主(あるじ)と使用人の会話。書斎にお茶セットを運び込んだ使用人に対して、「どうしてここへ持ってきたんだ」と問い詰めます。すると使用人が、奥様がここで飲むと言っているから、と答えます。

A「奥様が、ここでお茶にするとおっしゃっていますので」
B「奥様が、ここでお茶にすると申しておりますので」

「お茶にする」は「お茶になさる」でもいいでしょう。問題は「言っているから」の部分。正しいのはAですね。「申す」は謙譲語でその動作主を下げた言い方。たとえば目上の人に対して「うちの家内がそのように申しております」と言うのは正しい。でもここでは目上の人である「奥様」の行為について言っているので、謙譲語を使ったら失礼です。「~しております」の「おる」も難しい。「~しておられる」と言うと、「られる」で尊敬を表すので、「先生が手紙を書いておられる」と言うことも可能のようですが、わたしの感覚では、「おる」自体が謙譲表現なので、どうも好きになれません(地域差という説もあるようですが…)。

最近はテレビに出る人たちがやたらに敬語を使って、かえってミョーな空気になっています。敬語を使おうとする努力はすばらしいものですが、中途半端というか。過ぎたるは及ばざるがごとし、と言います。何でもかんでも敬語を使えばいい、というものじゃない。普通の丁寧語をきちんと使って、上品に話をすることを優先させてほしい、とテレビを見ながら思う今日この頃です。

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