コーヒーブレイクde翻訳
出版翻訳や、翻訳道場を始めとする翻訳指導など、日々の業務で感じたことをつづっています。
あれから16年(15/12/01)
年末です。時間ができたら大掃除しなければならない年末です。

というわけで、仕事がひと段落して少し気が楽になった週末、台所の掃除をしました。戸棚の中、ガスレンジの上、シンクの内側、ついでに冷蔵庫の中……。始めたら気になるところばかりで、結局一日台所に籠ることになりました。

そんな作業のさなか、ふと思ったのです。この台所を親から受け継いでリフォームしたのが16年前。出版翻訳の世界に足を踏み入れたのが、やっぱり16年前。16年たった台所では、ついにガスレンジ&オーブンが故障し、先日買い替えました。では16年たったわたしの翻訳人生は? 充実してきた部分もありますが、やっぱり経年劣化が見られます。慣れから来る油断とか、目標を見失うとか。

そこで思い出したのが、高校の軟式テニス部(ソフトテニス、と今は言うそうです)のOB会報に寄稿するように、と先輩から声をかけられ、一週間前に「一度入ったら抜けられない翻訳の面白さ」について書いたこと。以下はその一部です:

……さらに、外国語を日本語にする作業そのものを挙げたい。文法や語法の知識を駆使して外国語の文章を「分析」し、それに基づいて正確な訳を導き出して、文脈に沿った自然な日本語になるように訳文を調整する。ある意味、客観的で論理的な作業です。ぴたっと訳がハマると、サービスエースをとったときのような快感を覚えます。だから面白い。 もうひとつ、……著者や登場人物に気持ちがシンクロする奇跡です。15年ほど前にオードリー・ヘップバーンの評伝を訳しましたが、彼女が苦悩するときは、読んでいるわたしも胸が重苦しくなり、彼女がのびのびと晴れやかな表情を見せるときは、気分よく仕事がはかどりました。そして彼女の一生が終わったとき、体中の力が抜けました。約1年、寝食を共にした同志ですから。売れ行きはともかく、いい仕事だったと思います。 こういう経験をしてしまうと、もうやめられません。何とも言いようのない、昂揚感というか恍惚感というか、それをもう一度感じたいと思うのです。……

シンクを磨きながら、16年たって劣化した思考の入れ替えが完了! 翻訳を始めた頃の感動を思い出して、謙虚に誠実に、油断のない翻訳を心がけようと思いました。おそるべし、年末の掃除。次はどんな効用があるのかしら?

最近ハマっている女優さんです。ただいまアマゾンに注文中。

表紙に惹かれました。これもアマゾンに注文中。

このサイトは翻訳学校サン・フレア アカデミーの運営です。

PAGETOP