コーヒーブレイクde翻訳
出版翻訳や、翻訳道場を始めとする翻訳指導など、日々の業務で感じたことをつづっています。
継承する「物」と「こと」(16/02/09)
12年前に他界した義母が残した貴金属や装飾品を何年か前に整理して、義妹に好きなもの・欲しいものをぜ~んぶ持っていってもらいました。ダイヤとかルビーとか、そういうものを持っていったと思います。先日掃除をしていて、その残りが出てきました。大きな天然石と思われる指輪、真珠のブローチやネックレス、金製と思われるイヤリング等々、ティッシュケースくらいの箱をいっぱいにするほど。本真珠と思われるネックレスとブローチを除いて、あとは近所にある古物品を扱う店で買い取ってもらうことにしました。結局、18金だけ何点か売れて、あとは持ち帰り。大きな天然石の指輪は台座が金ではないので、おそらく模造もしくは二級品の石だとのこと。これが売れたら家の修繕の資金になる、との目論見は、泡のように消えました。

親から譲り受けた物を大事にして、子々孫々伝えるというのはカッコイイです。そういう価値のあるもの、ある? と聞いたら、ない、と現当主(たかだか3代目ですが)の家人は言います。残念。

先日、イギリス貴族の生活を特集したムック『英国貴族の全て――「ダウントン・アビー」の世界をより楽しむ!』を友人に紹介されて読みました。以前にも『英国人に「大人の品格」を学ぶ』と題した雑誌クーリエ・ジャポンを買って読みましたが、先祖代々伝わる屋敷や調度品を大事にして使い続け、先祖たちがまだ生きているかのように、その存在を感じながら生活する貴族たちの様子がよくわかり、また歴史や習慣を知ることもできて、翻訳者としての立場上、とても勉強になりました。現代を生きるのに大変なこともあるらしいのですが、それでもしきたりや伝統の継承者としての存在意義が、貴族にはあるんですね。

日本にもそういう「家」があります。「週刊朝日ムック」の『武将の末裔 子孫52人の秘話と秘宝』が面白かった。今も存続している武将の家の現当主たちが、数多く紹介されていますが、その代表格が徳川宗家と御三家。どの家も、その継承には大いなる苦労があるようですが、存在そのものが歴史であるという誇りが、彼らの土台になっているのではないでしょうか。

ある年齢を過ぎたころから、わたしが次の世代に伝えられるものは何だろう、と考えるようになりました。宝飾品のように目に見える「物」ではなくて、精神を伝える何か。本を読むこととか、さまざまな社会や文化に興味をもつこと、そんなことも継承の対象になりますかね?

  

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