コーヒーブレイクde翻訳
出版翻訳や、翻訳道場を始めとする翻訳指導など、日々の業務で感じたことをつづっています。
翻訳家のエッセー(16/02/22)
洋書の森のウィークエンドスキルアップ講座で講師を務めてくださった越前敏弥さんのエッセー『翻訳百景』(角川新書)が、2月10日に発売されました。著名な翻訳家も実は見えないところでたいへんな努力をしている、というのがよくわかるエッセー本です。

翻訳に興味を持ってから何十年もたっていますが、その間、翻訳家のエッセーとか翻訳指南書の類を何冊か読んできました。最初は大学の恩師、河野一郎先生の『翻訳上達法』(講談社現代新書、1975年)、続いて上智大学の別宮貞徳先生の『翻訳読本』(同、1979年)など。その後しばらくそういう本から離れて、最近になって鴻巣友季子さんの『明治大正翻訳ワンダーランド』(新潮新書、2005年)、金原瑞人さんの『翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった』(ポプラ文庫、2009年)、昨年亡くなった小鷹信光さんの『翻訳という仕事』(ちくま文庫、2001年)、田口俊樹さんの『おやじの細腕まくり』(講談社、2002年)等々、気になる翻訳家の話を読みました。そういう本には、翻訳の技術論だけでなく、翻訳の哲学も書かれています。どの翻訳者も、語学力は当たり前のこととして、日本語力、調査力、好奇心、さらに努力や体力、根気などを説いています。またどう売り込むか、出版社・編集者とどう付き合うかなど、実践的な仕事力も紹介しています。翻訳作業の合間に読むことで、指針を得たり、疑問が解決されたり、迷いが消えたりするでしょう。

翻訳家のエッセーや指南書のもう一つの魅力は、翻訳家本人のヒストリーです。ストレートに語る箇所だけでなく、翻訳論の言葉の端々にも、その人の歴史や生活観が見えてきます。スゴイ翻訳家にも人間臭さがあると思えば、よし、自分も、と思えるじゃないですか。あまりに立派で、自分にはムリ、とへこむこともありますけれど。

ブログを追いかけるのも楽しいと思いますが、いつでもどこでも読める「本」、エッセンスが凝縮された「本」はありがたい。次はどの翻訳家のエッセーがアンテナにひっかかるでしょうか。 

学生時代のバイブルのような本でした。

   

最近の本は、軽妙な文体で綴られることが多い気がします。

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