コーヒーブレイクde翻訳
出版翻訳や、翻訳道場を始めとする翻訳指導など、日々の業務で感じたことをつづっています。
桜に思う(16/04/08)
4月最初の週末、近所の桜の名所も花が満開で、いつもならそんなに人がいない散歩道が、人と自転車であふれていました。数日たって、夕方まだ明るい時間に行ってみたら、人は少なく、いつもの静かな散歩道に。思わずケータイのカメラを向けました。樹によってはまだ蕾もあって、しばらくは薄いピンクの花々を楽しめそうです。


さて、本屋の中をぶらっと歩いていて気になる本を手に取るとき、最近は、著者や訳者のプロフィールと奥付を最初に見るようになりました。どんな人が書いているのか訳しているのか、訳者は知っている人だろうか、そして、何刷までいっているのか、売れ行きはどうなんだろう、ということが気になるからです。

先日は、カズオ・イシグロの『日の名残り』と『わたしを離さないで』の文庫本が平積みになっているのを見ました。何年も前に話題になって買って読んだ本ですが、まだ平積みなのは、テレビドラマになったこと以前に、カズオ・イシグロの作品が読者を離さないからなんでしょう。どちらも十刷以上の人気作品です。手元にある『日の名残り』を確認すると、1994年に中公文庫で出版されたのが最初で、その後2001年に早川書房からハヤカワepi文庫として出版され、2008年時点で十刷を数えました。『わたしを離さないで』は2006年に早川書房から単行本で出版され、それが2008年にハヤカワepi文庫になり、2011年時点で十四刷を数えています。息が長い! 

わたしが翻訳した本は数は多くないのですが、それでもいくつか重版しているものがあります。『オードリー リアル・ストーリー』(2003年、三刷)、『アルケミスト双書 ドラゴン』(2009年、三刷)、『バレエの世界へようこそ』(2015年、二刷)、『千の顔をもつ英雄』(2015年、四刷)。『ドラゴン』は忘れた頃に重版のお知らせがあって、まだ動いていることに驚きと感謝(編集者と読者の両方に!)を覚えます。

桜の花のようにパッと咲いて、大勢の人々が殺到するような作品は憧れですが、地味でも長持ちのする作品をぜひやってみたいですね。桜だって、一年かけて翌年の花の準備をし、それを毎年繰り返しますし。そんな桜のような翻訳者に、わたしはなりたい。(どっちの桜だい?)

2015年の二作品は、まだまだ生まれたばかりです。「重版しました」のお知らせが、どうぞ届き続けますように。

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