コーヒーブレイクde翻訳
出版翻訳や、翻訳道場を始めとする翻訳指導など、日々の業務で感じたことをつづっています。
狂言鑑賞デビュー(16/04/24)
4月22日、初めて狂言を見てきました! 1997年のNHKの朝ドラ『あぐり』でヒロインの旦那さん吉行エイスケを演じ、映画『陰陽師』や『のぼうの城』で主演を務めた野村萬斎の本業です。
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じつは狂言だけでなく、能や歌舞伎、文楽など、古典芸能と呼ばれるものは敬遠していました。その様式美や言語が理解できないからです。たまにテレビでその舞台をちらっと見ますが、何を言っているのかさっぱり。ひとつひとつの動作にも意味があるそうですから、耳から入る言葉と目から入る動きのどちらも、知らない世界だという認識でした。

それがなぜ見に行こうと思ったのか。正直に言って、狂言そのものへの興味ではなく、野村萬斎への興味。以前から、普通の俳優さんとは違うオーラを感じていました。たぶん継承すべき芸を持つ人または家独特のオーラです。彼が子どもの頃に、お父さんの万作に指導される様子がテレビに映し出されたことがありました。昨年だったか、今度は彼がお父さんになって、息子さんに稽古をつけている様子が放映されました。こうして受け継がれるオーラを直接感じたかったのです。このブログで2月に「継承する『物』と『こと』」を書きました。そういうの、好きなんです。

驚きはオープニングのレクチャートーク。演目のレクチャーが目的ですが、漫談のようにお客さんを楽しませるホンモノの萬斎に興奮しました。常連さんはこれも(これが?)目当てなんじゃないかな。流行りの一発芸を上品に面白く真似たり、さりげなくこれから公開する映画の宣伝をしたり、自由な語りです。舞台から離れた席だったので、あの顔をしっかり見ることは無理でしたが、声は素敵でしたよ、あの低い美しい声。それだけで満足です。

演目は「仏師」と「首引」。ところどころ聞き取れないセリフもありましたが、レクチャーのおかげで、どんな話か、どんな言葉が使われるかが予習できているので、無理なく楽しめました。舞台装置など何もない中、仏師と田舎者、親鬼・姫鬼・剛の者が織りなす情景が目の前に立ち上がる不思議も経験。コミカルなやりとりや仕草が、客席の笑いを誘いました。

様式美と言語が理解できないから興味を持たなかった、と上で書きました。本当に理解しようとするなら勉強が必要ですが、そもそも狂言は庶民の芸能。難しいものではなく、感性で楽しめる芸のはずです。今回初めて鑑賞しましたが、レクチャーの助けを得たこともあって、耳から入る言葉も、目から入る仕草も、感覚として腑に落ちました。食わず嫌いだったのを後悔。もっと早く鑑賞デビューすればよかった、と思いました。

「野村萬斎 狂言の現在 2016」パンフレット

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