コーヒーブレイクde翻訳
出版翻訳や、翻訳道場を始めとする翻訳指導など、日々の業務で感じたことをつづっています。
河野勉強会 その4(16/06/22)
冠詞にやられた~!

本気で勉強しなおし、と思って受けている河野先生の講座。毎回提出する課題訳は、大筋では合格点をいただいていますが、ほんとにプロ?と自らツッコミをいれたくなるときもあります。恥をしのんで正直に書きますが、これはマズイ(涙)

訳して読み返して、つじつまが合わないのでは?と思って辞書や参考書をかたっぱしから広げて、読んで考えて、でも決定的な説明ができなくて、これでいいのかなあ、と不安を感じながら提出したら、やっぱり、誤訳だった、という話です。

作品はGeorge Antonichの“Late, Late Call”。元バーテンダーが、魅力的な女性に出会って恋に落ちたことを述懐する場面です。

I’d met her that summer I was twenty-four and working in a picturesque North Beach bar. She had come to San Francisco to visit a relative. At the end of a week I was so out-of-my-head in love with her I was actually pricing wedding bands….

第三文のat the end of a weekはいつのことでしょう? 「週末」? ある日彼女に出会って、週末に恋に落ちた? 読み直して、何か釈然としないと思いました。「週末」というのは、一般的に土曜日日曜日のこと。時期が決まっています。出会った日が何曜日でも、「週末」は「その週の週末」と限定されます。けれど不定冠詞のaなんですね。限定されるのに、どうしてaなのか。そう疑問に思いながら、そのまま「週末」で提出して、当然のことながら撃沈。

a weekとは、7日という期間を称したもの。したがって、at the end of a weekは、7日が過ぎた日、の意。「一週間したら」となります。じつは英辞郎に、at the end of a weekを「週末」と訳す例が載っていました。ちょうど一週間後が土曜日や日曜日であれば、正しい解釈になりますが、今回の原文は、起点がいつかわからないので、これをあてはめるのは不可でした。なのに……。もう一歩考えが及ばなかったのが、非常に恥ずかしい。

冠詞は、英語を習い始めて最初にひっかかる文法事項です。日本語にはない品詞ですから。そう承知していて、ここではなぜ不定冠詞なのか、定冠詞なのか、無冠詞なのか、と丁寧に読んできたつもりでした。また、翻訳勝ち抜き道場やサンフレアアカデミーの文芸翻訳講座で、受講生のみなさんにも、そうお話してきました。なのに……。勉強会、という油断でしょうか。いや、言い訳してはいけませんね。

冠詞についてもう一つ、a countryとthe countryの違いについて確認しておきます。これも勉強会で話題になりました。子ども時代を回想したエッセーの中で、4月になるとthe countryに引っ越し、11月になるとthe cityに帰ってくるため、その都度転校するのだが、必ずしも元のthe cityの学校に戻るわけではなく、a different countryに行くことが多かった、という記述です。4月に引っ越す先は「田舎」、11月に引っ越す先は「よその国」ということもあった、というのが参考訳です。ランダムハウスには、一般にthe countryは「田舎、郊外」を表す、とあります。一方a countryは「国」でも「土地、地方」でもよさそうです。だからわたしはa different countryを「よその国」を含めた「よその土地」と訳しました。

翻訳するとき、文脈から自然に無冠詞・不定冠詞・定冠詞の違いを嗅ぎ取って訳すことが多いのですが、たまにはきちんと辞書や参考書を読んで、確認しなければいけません。わたしのように、恥ずかしい思いをしないように。

庭の梅の木に、今年も大きな実が生りました。去年は梅酒をつくったので、今年は梅干しにします。

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