コーヒーブレイクde翻訳
出版翻訳や、翻訳道場を始めとする翻訳指導など、日々の業務で感じたことをつづっています。
映像と原作(17/05/09)
TBSで湊かなえ原作の『リバース』を放送しています。最初は娘に付き合っていただけでしたが、次第に惹きこまれて、見逃せないと思うようになりました。娘はドラマが終わったら、原作を読むと言っています。読みながら、ここは藤原達也がこんなふうだった、あんなふうだった、と映像を思い出して楽しみたいのだそうです。

出版された本を元にしたドラマや映画がよく制作されます。最近は漫画が原作の作品も多い。そう、驚いたのは『ツバキ文具店』! 3月1日の「読みたいときが吉」で書きましたが、地味だけれど味わい深い作品。
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これがNHKでドラマ化されているんです!
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出演している俳優さん・女優さんが素敵な人ばかりで、きっと原作の雰囲気を再現していると思いますが、どうしても観る気になれません。本のページを繰りながら、文字を追いながら、頭の中で形作った「わたしのツバキ文具店」が、映像によって書き換えられそうなので。だって、主人公のポッポちゃんは、多部未華子ちゃんのような小顔のかわいい子というイメージではなくて、もう少しダサい感じがしたし、先代のおばあちゃんは、倍賞美津子さんより細面で鉄筆のようなイメージだから。さらに違ったのはQPちゃんのお父さん。上地くんじゃない! 繊細さと優しさは上地くんにあるけれど、さらにインテリっぽさを感じたい。NHKのサイトを見てしまったので、わたしの中の登場人物像は揺らいでしまいました。映像は強いです。視覚と聴覚を通して圧倒的な情報が送られてきます。想像で作り上げたものなど、木端微塵に砕けてしまう。だからこれ以上サイトは見ない。ドラマも観ません。

『ツバキ文具店』については頑ななわたしですが、原作を読んでから映像作品を観ることもあります。コナン・ドイルのシャーロック・ホームズ物は、原作と言っても小学生時代の児童書ですが、それを一通り読んで、そのあと大人になってからグラナダ版をテレビで観て、DVDまで揃えました。グラナダ版は原作を忠実に再現しているのがいい。ハリー・ポッターシリーズは映像ならではの楽しみがありました(でも、ラドクリフくんが成長しすぎ!)。エンタメ性の強いものなら、それはそれ、と割り切ることができるようです。とはいえ、エンタメ作品ならどれでもいいわけではなく、原作をどのように脚色し演出するか、脚本家や監督の技量によります。そして演者の技量も気になるところです。

知り合いの翻訳者の中に、訳書が舞台化された人がいます。洋画のノベライズの仕事をしている人もいます。また映画の公開やアーティストの来日に合わせて、関連する翻訳書を出版する動きは当たり前のようにあります。映像が出版を助け、出版が映像を助ける、そんな双方向の関係性は、好むと好まざるとに関わらず、無視できません。翻訳者としては、映像化される可能性のある原書をプロモーションするのも、手です。探してみましょうか。

今読んでいる冒険物の児童書。児童書にしては哲学的で科学的です。欧米では人気があるそうです。

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