コーヒーブレイクde翻訳
出版翻訳や、翻訳道場を始めとする翻訳指導など、日々の業務で感じたことをつづっています。
河野教室 その1(17/11/13)
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何度でも聞いて、何度でも確認したい翻訳の基礎的な知識や考え方などを、思いつくままにレポートします。

きょうは「辞書をひく」話。

毎回「小テスト」があって、辞書を引かずに考え、そのあと辞書を引いて答えを見つけるのですが、これが宝探しのようで面白い。medicine、school、hot、wrong、goodなど基本的な単語は、文脈によって思わぬ意味になることを再確認できます。medicineはmedicine and surgeryと言えば「内科」の意味になるし、schoolにも「鍛錬の場」という意味がある。hotは「暑い・熱い」ばかりでなく、口語では「正解に近い」の意味にもなります。

よく、「英語できるなら、辞書なんて引かないでサクサクっと訳せるんでしょ」と軽く言う人がいますが、声を大にして答えたい。いえ、いつも辞書を引いています、辞書なしでは訳せません、と。

簡単な例ですが、Oh, boy! というセリフは「おお、少年!」でしょうか。話者が女性で、目の前にいるのが女の子だったら、悩むかもしれない。でもこの場合のboyは感嘆詞であり、性別に関係なく使われる、ということが辞書を引くとわかります。つまり、「あらまあ」「へえ、そうかい」など。ちなみにジーニアスには、「驚き・感嘆などを表わす;男女の別なく用いるが、黒人に対して用いるのは軽蔑的」という注釈があります。こういう付加的な情報も得られるので、辞書を引かないわけにはいかないのです。

ところで「小テスト」の中で悩んだのがstrongでした。There came a 1,500 strong audience to the concert.の1,500 strongはどういう意味でしょうか。「1,500人強」? リーダーズには「人員が…の」とあり、a 30,000-strong demonstration「3万人参加のデモ」とあります。ジーニアスには「総勢…人の、…強の」とあり、a force 5,000 strong「総勢5千人の軍隊」となっています。

ところで日本語の「…強」は、その数字の端数を切り捨てたことを表わし、逆に「…弱」は切り上げたことを表わすようです(三省堂、大辞林)。一方英語のstrongは、You can use strong when you are saying how many people there are in a group. For example, if a group is twenty strong, there are twenty people in it.(コリンズ)とあり、日本語の「…強」とは違います。リーダーズに「…強」の訳語がなかったのは、そのせいかもしれません。ということで、There came…の文は、「1500人の観客」となるのでしょう。

今はネット上の辞書が充実しています。紙の辞書もネット上の辞書もどちらも活用して、手間をおしまず、文脈にあった訳語を選びましょう。それからstrongと「強」の例のように、日本語の訳語も国語辞典で調べた方がいいようですね。

ひどい腰痛持ちです。整形外科も整体も鍼灸も試しましたが、改善が見られません。そこで本気で始めたウォーキング。こんな風景の中、しっかり30分歩いています。今のところ週3日が目標。

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