コーヒーブレイクde翻訳
出版翻訳や、翻訳道場を始めとする翻訳指導など、日々の業務で感じたことをつづっています。
河野教室 その4(18/03/06)
昨年10月から通っていた河野一郎先生の「翻訳家をめざす講座」@神奈川大学生涯学習・エクステンション講座が終了しました。
こちらをクリック!

全10回の講義を通して、繰り返し教えられたことを記しておきます:


1.英語の理解: 辞書は相棒。どんなに易しい単語でも、確認のために辞書をひくこと。

ネットニュースから興味深い例を取り上げました。
こちらをクリック!
詳細は上記サイトを見てください。get away with murderのmurderにひきずられた誤訳例です。トランプ大統領だからそういう発言をしたかもしれない、と思ってわざと訳した可能性も否定できませんが。

課題訳でわたしがした誤訳のうち、かなりショックに思ったものはbe around。教えを守って辞書を丹念に読んだつもりで素通りしていました。aroundで「存在して、現役で」、have been aroundで「生きてきた、存在してきた」。例としてif Jesus was around today「もしイエスが生きていたら」が載っています。小さな単語、侮れません。


2.日本語表現: 誤訳はあとから直せるが、文章が下手なのを直すのは難しい。

名翻訳家として知られる大久保康雄さんは、多くの下訳者を使って訳書を量産したと言われていますが、優れた文章力で、下訳を読むに堪える日本語に変えていったそうです。

では日本語の文章力を鍛えるにはどうしたらいいのでしょうか。ひとつは、日本語で書かれた本を読むことです。それも明治大正期の素養が大事だとのこと。う~ん、それは古すぎでは、と思わないこともない。名文だと言われる作家の本であれば、昭和・平成の作品でもいいと思います。もうひとつは文章を書き続けることです。書いているうちに自分の文体が作り上げられ、訳文を書く鍛錬になるそうです。

そこから思い出したのが、翻訳家土屋政雄さんの言葉。昨年ある講演会で「翻訳上達のためにどんな勉強をしますか?」と質問されて(上達、って、土屋さんにそれを聞く?とびっくり)、土屋さんは、訳し続けること、と答えました。仕事が続くので、仕事で鍛えられるのだそうです。

つまり、読み続けて書き続けて訳し続ける。さらに、書いたもの、訳したものを他人に読んでもらう機会があれば最高。評価が良かろうが悪かろうが、鍛えられますね。


東京外国語大学に入学して、1年次2年次の必修科目および3年次4年次のゼミでお世話になった先生。当時の教え子が、わたしを含めて5人受講しました。そのうち翻訳を仕事にしているのはわたしだけ。だから、河野先生を前にすると緊張します。教師を越えなきゃダメですよ、と先生はおっしゃいますが、そんなの無理無理! 見上げながら、近づくにはどうしたらいいかと考え続け、それを原動力にして精進したいと思います。

課題訳の評価、ウサギ5匹で満点です。やっといただきました。

  

このサイトは翻訳学校サン・フレア アカデミーの運営です。

PAGETOP