コーヒーブレイクde翻訳
出版翻訳や、翻訳道場を始めとする翻訳指導など、日々の業務で感じたことをつづっています。
あなたは何を訳したいのですか?(18/03/30)
昨年の夏、翻訳とは関係のない友人に久しぶりに会って名刺を渡したとき、ドキッとすることを言われました。「いろいろなジャンルの訳をやっているのね」

そうよ、どんなジャンルも対応できるのよ、と胸を張って返事をすることができませんでした。そうなのよ、残念ながらまだ定まらないのよ、と胸の中で小さくつぶやいて、「ほんと、あれこれよね」と苦笑いを返すのが精いっぱい。このときの友人の言葉が今も胸に刺さっています。

そもそも最初にもらった仕事が評伝でした。好きか嫌いかではなく、できるかできないかの段階で、やるしかなかった。ところがやってみて、評伝は合っている、と思いました。調べごとはたいへんですが、人生ドラマそのものです。小説にも匹敵します。それにその人が生まれてからずっと追いかけるのですから、他人事ではなくなります。似ている人生なら思い入れがより強くなるし、まったく異なる人生であれば、一緒に別世界を見ることができる。終わってホッとしつつも、またこういう仕事をしたい、と思いました。

その後、縁があって児童書・YAジャンルのリーディングをさせてもらうようになり、一冊訳書が出ました。それが名刺代わりになったのか、子ども向けのバレエ本につながりました。難しい面もありますが、子どもの本は楽しい。児童書・YAや絵本のジャンルは自分に合っているかもしれない、なんて思ったりもして。けれど周囲にそれを専門にしている優秀な人たちがいるので、同じ領域に自ら積極的に入っていく勇気が出せないでいました。

それが最近、意固地にならず、子ども向けジャンルが好き、やりたい、と言ってもいいのかもしれないと、思い始めたのです。このジャンルの居心地の良さに負けました!

たいていの翻訳者は最初から方向性が決まっていて、その道のプロとして活躍しています。でもわたしのように、できるところから始めて、そのうちに方向性が決まる、という人もいるのでないかと思うのです。たまたま最初が評伝だった、たまたま最初が児童書だった、たまたま最初がビジネス書だったetc. きっかけはいろいろあるし、道もまっすぐではありませんが、試行錯誤の中で没頭できるジャンルは見つかると思います。

そういうわけで、今さらですが、(ほんと、今さらですけど)あなたは何を訳したいのですか、と聞かれたら、素直に、評伝と児童書・YAのジャンル、と堂々と答えることにしました!

で、今困っていること。昨年、評伝でも児童書でもないノンフィクションの本を手に取りました。切り口が面白いので、レジュメを書いて持ち込もうと思いました。ところが読み始めてレジュメの準備を始めてみると、読むスピードが上がらず、どう売り込んだらいいのかわからなくなってきました。児童書・YAのリーディングをするときと比べると、やる気度がまったく違う。さて、どうしましょうか?

初版は1960年代ですが、あちらでは今でも読まれているようです。全5巻。お試し中。

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