コーヒーブレイクde翻訳
出版翻訳や、翻訳道場を始めとする翻訳指導など、日々の業務で感じたことをつづっています。
本屋のこと(18/04/17)
まだ読み終わっていない本が数冊あるのに、本屋で衝動買いをしました。カズオ・イシグロの『遠い山なみの光』と『わたしたちが孤児だったころ』の文庫。イシグロの作品はノーベル賞をとる前から土屋政雄さんの訳で読んでいます。この2冊はそれぞれ小野寺健さんと入江真佐子さんの訳。三人の訳者さんの違いは、たぶん気にならないと思います。小説の内容が変わりますから、それぞれ別々の作品として楽しめるでしょう。

その衝動買いをすることになった本屋は、よくある町の本屋さんで、昭和48年に開店した地元の小さなお店です。普段はネットで申し込んでこの本屋へ取りに行くe-hon を利用しているので、小さいからといって不便は感じません。また話題の本は揃っているので、買い物のついでに立ち寄って書棚を見て歩く楽しみも提供してくれます。表紙に惹かれて「ジャケ買い」をした本は多いし、購入するかどうか迷っていた本を見つけて、実物を見て触って、ちょっと中を覗いて、そして購入を決めた本も少なくありません。上述の2冊もまさにこの例。

やっぱりリアルな本屋はいい! 内容や表紙に加えて、手触りや紙の匂い、本の重さも、購買意欲を刺激します。我が町の唯一の本屋さん、つぶれないでくださいね。通いますから。

……とここまで書いて、気づきました。わたしたち出版に関わる人間にとって、本屋は本を買う店というだけでなく、自分の本をおいてくれる店でもあるのだ、と。わたしの訳書も、児童書1冊、大型本1冊、文庫上下巻1セットが、発売時に地元のこの店で平積みされました。それを見たとき思わず手を合わせたりして。ありがたかった。最近は、翻訳者も自分の本を宣伝して読者に振り向いてもらう努力をしなければならない、と言われています。ポップを書く翻訳者もいますね。本屋は、仕事上の相棒でもあるんです。

昨年翻訳した本は、この本屋では見当たりませんでした。今年出る予定の絵本、おいてもらえますように。

『遠い山なみの光』では、戦後すぐのころの山の手言葉「~ですわ」調が使われています。時代を感じさせます。

このサイトは翻訳学校サン・フレア アカデミーの運営です。

PAGETOP