コーヒーブレイクde翻訳
出版翻訳や、翻訳道場を始めとする翻訳指導など、日々の業務で感じたことをつづっています。
硬派なファンタジー(18/12/26)
前回ブログを更新して1か月以上たってしまいました。クリスマスも終わって、年末も年末、2019年が目の前。12月は、初めての読書会に参加したり、編集者や翻訳者が集まる忘年会に出たりして、いつも以上に時間の流れを速く感じていました。師走、ということもあるな。そういえば…

英語の原書を一冊も読んでない!! 11月末に持ち込み企画が不首尾に終わり、さあどうしよう、と落ち込んで、気分を変えようと本屋をぶらついていて、あるファンタジー大作が目に留まってしまったせいです。すっかり絡め捕られました。


『図書館の魔女』(高田大介著、講談社文庫)。試しに購入した第1巻を読み始めてすぐ、これは全4巻を読まねば、と思いたち、急ぎ本屋へ走りました。久しぶりに夢中になりました。書評家・翻訳家の大森望氏は「超スリリングな外交エンターテイメント」と評しますが、タイトルに違わず、言葉が主役のファンタジーです。そして活劇あり、謎解きあり、胸キュン場面ありの、エンターテイメント性の高い作品である一方、地質学、歴史学、工学、経済学、心理学、……、人間が生きていくために必要なありとあらゆる学問や知識が怒涛のように打ち寄せてくる硬派な物語なのです。こんなに濃いファンタジー作品は、初めてかもしれません。

作者は印欧語比較文法・対照言語学が専門とか。多言語横断的な記述が見られるのは、そういうわけか、と納得します。さらに口から発せられる言葉のほかに、手話や指話が当たり前のように登場します。普段使わない言葉や漢語が多く用いられているのも特徴です。ルビは部分的にふられていますが、覚えきれなくて。何度、前のページへ戻って読み方を確認したことか。読者に負担を強いる作品、なのに読むのをやめられない作品。エライ本をみつけたものです。2013年に単行本で出版され、2016年に文庫化され、累計40万部だそう。すごいですねえ。

来年は、この作品の続編と、友人が翻訳した歴史の本を読書はじめとします。もちろん出版につながる原書も探し続けます。11月末に企画が通らなかった本も、他の出版社に打診してみるつもり。来年も積極的に忙しくしていきます。

それではみなさん、どうぞ良いお年を。

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