コーヒーブレイクde翻訳
出版翻訳や、翻訳道場を始めとする翻訳指導など、日々の業務で感じたことをつづっています。
英訳教室レポート(19/01/28)
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の続編。『日英翻訳教室 青山ブックセンター編』で勉強してきました。なるほどと思ったこと、気になったことをメモします。

*課題の冒頭、「~する人は少ない」という文がありました。ネイティブの先生によると、there is構文は段落の頭では避けたいのだそうです。「情報がなくてイライラする」「文章としてオシャレではない、単調に思える」とか。これはA few people+動詞で始めるのがおススメのようです。思い出してみれば、受験英語の英作文でよく見ますね。

*「この本には、~がある」をIn this book, there is…と書き始めてしまったわたし。出席していた英訳を専門とする人の訳、The book contains ~にハッとしました。なんてすっきりした英語なんだろう。そう言えば、The book contains ~を和訳するときには、「この本は~を含んでいる」とは訳さず、「この本には~がある」と訳すなあ。

*食堂で供される食べ物がまずい、という箇所を、tastes badと訳したのですが、badはあまりにも広く使われる言葉なので、他の表現も使えるようにしましょう、と言われました。ここで知ったのがunsavory。リーダーズには、「いやなにおい[味]がする; 不快な、いやな、ぞっとしない、味気ない; 味のない、気の抜けた;…」などと出ています。ネイティブの先生によると、この単語は食べ物にしか使わないとか。

*前回のブログで、「定食屋」は何と訳したらいいのだろう、と書きました。講師訳では、bistroとdinerが使われていましたが、ネイティブの先生にとって、bistroはおいしそうなイメージ、dinerはまずそうなイメージなんだそうです。easy restaurantというのも可能とか。気の置けない雰囲気、というのはわかりますね。

*「文句ありげにいつも尖らせている唇」を、わたしはher lips which were pouting as if she was complainingとしました。でもこのpoutには「ふくれっつらをする、すねる」の意味があり、pout一語で「文句ありげに」を含んでいるので、her pouty lipsだけで原文のニュアンスが十分伝わる、とのこと。何て便利な単語でしょう。日本語の「唇を尖らせる」も同じような意味を持ちますね。原作者は「文句ありげに」を足すことで意味を強めたのかもしれません。ん? だとしたら、やっぱり「文句ありげに」も訳すべき?

*時制の問題。英日の場合、原文が過去形で綴られていても、文脈やリズムを考慮して現在形で訳すことがあります。同じことが日英でも起こるらしい。今回の課題の過去形で綴られている部分を、ネイティブの先生は現在形で訳していました。いわく、まるで舞台を見ているかのように、とのこと。ああ、同じなんだ、翻訳者というのは日英も英日も同じことを考えているのだ、と嬉しい発見でした。

今回も日英翻訳の観点から多くを学びました。日英翻訳教室は今後も続けられるそうです。時間に余裕があったら、一度参加してみてはいかがでしょうか。
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短篇集『さがしもの』(角田光代著、新潮文庫)。この中の表題作の一部を訳しました。

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